何の疑いも持たずに報道、利用してきた毎月勤労統計に不正があった。春闘が本格化する中で、労働行政に走った激震。国会で野党が「政権による恣意的操作があったのでは」と追及するなど問題になっています。労働問題の報道・研究活動にかかわる者が交流する研究・親睦団体「日本労働ペンクラブ」の会員にとっても当然、関心事になっています。

 日本労働ペンクラブは、労働問題を取材する新聞記者や、そのOB記者らによって1981年に設立されました。現在会員数は約190人。変化著しい労働情勢を的確に把握・発信するために、取材活動、専門家からのヒアリング・勉強会、自由な言論・執筆を拡充させています。また毎月の会員による研究成果の発表の後などには、ミニ懇親会の場を設け活発な意見交換をしています。

 この一年で労働法制は大きく動きました。2018年6月に「働き方改革法」が成立。残業時間の上限など規制強化の一方で、労働時間規制が取り外される高度プロフェッショナル制度の導入が決まりました。裏付けデータ問題で躓いた裁量労働制度についても、日本経団連からは再度の法案提出を求める声が出ています。

 労働市場の流動化も進んでいます。非正規労働者が約4割を占め、インターネットビジネスの拡大の中で、雇用契約を結ばずに仕事を「請け負う」形の働き方の広がりが指摘されています。労働法制でどこまで保護されるのか、という懸念がでています。また、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた出入国管理法が、人手不足への対応策として、中身の審議がほとんどないまま成立しました。労働市場への影響や外国人労働者に対する保護など、不安を抱えたままのスタートとなります。

 労働環境の変化は「社会の在り方」に大きな影響を及ぼします。にもかかわらず、残念ながら、こうした変化の流れの中で労働組合の影が薄いと言わざるを得ません。労働運動の社会的影響力の低下は、労働ジャーナリズムにも影を落としています。労働記事の掲載が減り、扱いも小さくなっています。結果、報道各社で労働専門記者が減少、あおりで労ペンクラブへの「若い」会員の加入が少なくなってきています。

 昔はよかった、と言うつもりはありませんが、かつての「総評」は単に労働運動だけでなくさまざまな社会運動の中で存在感がありました。主義・主張が全く違う産別を抱え込み、それらから相対的に独立した「平和運動」という“路線”を持っていました。地域・市民などによる社会運動をヒト、カネの両面で支えていました。それが存在感の一つの要因だった思います。時代が違うのは重々分かります。それでも低落傾向に歯止めをかけ、労働組合の存在感を高めるには、労働運動の枠を超えた活動を、いっそう強めることが必要なのではないでしょうか。

 労ペンクラブには、記者、学者、研究者、労組・厚労省・経団連のOB、経営コンサルタントなどさまざまな立場・経歴をもった方が個人単位で加入。会員は、経済・社会の構造的変化の影響を受けて揺れ動く労働情勢を、的確にとらえ発信すべく研究交流を深め合っています。労ペンクラブは門戸を広く開いています。労働問題に関心のある方の加入を歓迎いたします。