厚生労働省の岡崎淳一厚生労働審議官による、政府の「働き方改革」を中心とする労働政策説明会が、4月12日午後2時から束京・ 霞が関の同省会議室で行われた。

 会員48人が参加し、1時間半にわたって説明を受けた。

 メーンテーマは、「働き方改革実現会議」(議長・安倍首相)が、さる3月28日にまとめた実行計画。 正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくしていくための「同一労働同一賃金」の実現、時間外労働の上限規制-などについて、役所の立場から解説した。参加者からは、「(実施にあたり、その企業の)労使協議で決めていくのは、現実的対応。但し、労使協議は十分に機能するのか」「(長時間労働を容認するような)時間外労働の特例条項はおかしいのではないか」などの質間も飛んだ。

 政府は、働き方改革を、日本経済再生への最大のチャレンジとしており、労働政策審議会でこの計画を前提にスピード感を持って議論し、早期に国会に提出、法制化し、実施に移していくとしている。 新聞報道では、秋の臨時国会で関連法を改正し、2019年度から導入するとされている。



労使トップを含めて検討

 岡崎審議官は、まず、この計画のこれまでの流れについて説明。

 昨年6月の1億総活躍プランから始まり、参議院選後、安倍首相が「働き方改革が必要」と表明し、同9月、担当大臣を任命、さらに、自ら議長につき、 労使トップも含めた「働き方改革実現会議」をスタートさせたこと、その後、10回にわたり9テーマについて議論したこと、その結果が、3月28日に実行計画として取りまとめられた――とした。

 各論では、実行計画の最大の柱とされる、同一労働同一賃金の間題と、長時間労働の上限規制について、細かく説明した。総理報告の中で、上限規制について、「単月は100時間を基準値とする」と曖味な表現になったが、基準値の解釈について、総理から「10 0時間以下ではなく、未満で」との判断が示され、経団連も「未満で結構」と了承したこと、自民党への説明会のさい、再就職支援の項で、「中途採用」と表現されていたが、「中途という考え方が間題だ」とのクレームがつき、「転職者採用」に変わったなどのエピソードも披露した。



非正規雇用の処遇改善(同一労働同一賃金)に注力

〔問題意識〕非正規が増加し40 %に。仕事の中味と処遇が対応していないのが間題。踏み込んだ議論が十分でなかった。

〔経過〕同一企業での正規、非正規間の不合理な待遇差を是正するため、16年6月、ガイドライン案を示した。法制化を進めていく中で確定し、ガイドライン案の案をとっていく。

〔改正方向〕ガイドライン案の実効性を担保し、裁判で救済されるように、根拠を整備する。パート法、労働契約法、派遺法の法律を改正する。

①現行法では、有期雇用者の均等待遇規定がないため、均等待遇規定を規制し、ガイドライン案に根拠を与え、裁判でも争えるようにしていく。派遺、パートも同様に改正する。

②雇い入れ時、雇い入れ後の、企業側の説明責任をしっかり書き込む。比較対象となる労働者との相違の理由を明示させる。

③裁判外紛争解決手続きの整備。

④派遺労働者に関する法整備。



長時間労働の規制で前進

〔問題意識〕長時間労働は年間平均2000時間で変わらない。過労死間題もあり、上限規制することが必要。

〔経過〕法で上限規制することに抵抗が強かった経営側も、経団連が容認し、3月13日の労使トップ会談で、「原則として月45時間以内、年間360時間以内」が合意された。特例でも、「月平均60 時間、年間720時間」とする。 なお、特別条項でも、「原則的上限に近くする努力が重要」とした。

〔改正方向〕現行の告示(36協定で締結できる上限を、原則月45時間以内、年間360時間以内)を法律に格上げし、罰則も設ける。

 労使が特別に合意しても上回ることができない上限を設定。特例として、月60時間、年720時間。 繁忙期は単月100時間未満、2 ~6月では、平均80時間を上限――などを設ける。(植木隆司)