私の主張

【第4回 】ジェンダーを考える  大塚久美子さんに聞く 会社経営とジェンダー(2)

2021/12/27

 

社長就任

――2004年に取締役を退任し、2009年3月に社長として会社に呼び戻されました。

2007年に、金融庁から配当引き上げのタイミングでの自社株買いがインサイダー取引にあたるとして課徴金の納付を命じられました。株主に良かれと思ってやったことが、そのようなことになってしまい父も気落ちして、それで私を社長にということになったんです。

――改革のチャンスでもある。

そう。私としては前に辞めた時には抵抗を受けてできなかった改革ができるとも思ったわけですよ。で、「本当に任せてくれるのね」と念を押して、家族会議までをやって社長復帰を決めたんです。

――社長就任時の会社はどのような状況でしたか

2008年9月にリーマンショックがあり、社長に就任した2009年にはもう赤字でした。

――低価格を売りにする競合他社が台頭してきた時期でもありました。

そうです。
大塚家具とはターゲットが全然違うけれども、中間層はどっちかに流れるわけですよね。そして、まずは個人情報を取られない競合他社に行こうとなる。
それからスマホの普及。店舗を訪れる前に、すき間時間にスマホで情報収集するのが当たり前になっていかにスマホでのプレゼンスを上げるかが勝負になっていたのに、そこが弱くて、その点でも集客力が落ちていました。
だから会員制の改革とIT化、やらなきゃいけないことはすごく明確だったんですね。でも難航するだろうと思っていました。

女性役員役員の登用の登用

――取締役会に積極的に女性を登用されたようですね。

意識して取締役会の3割以上を女性にしました。やっぱり男性ばかりだと忖度の塊になっちゃうんです。もちろん女性ば かりでも同じですが、同質の組織だと口に出すまでもないっていうことが多くなってしまいます。活発な議論のない取締役会は会社にとって良くないですよね。

――女性の登用に対する反発は?

社外から執行役員として女性を何人か登用したのですが、社外からということと、女性だということに対する社内の反発は大きかったですね。

――女性を役員に登用しようとすると社外の人に頼らざるをえないのでしょうか。

このインタビューの第2回でもお話したように、日本社会の状況として、女性が会社で管理職になりづらい状況があったため社内に適任者が少ないということがありますね。私の同期の女性で今でも同じ銀行で働いている人は少数です。男性と違って女性の場合、同一組織の中で長期間継続してキャリアを積むことが難しい実態がその背景にあると思います。

女性のキャリア中断は社会の損失

―― 女性の大学進学率は高いですが、子育てなどのために家庭に入ってキ ャリアを中断する人も多いですね。

もちろん 個人の選択としてはありだと思いますが、社会が女性に高いコ ストをかけて教育を提供したのに、それを社会が十分活用できていないと すれば社会としては損失です。

――社会がコストを払ったにもかかわらず、社会がそのコストを返しても らうことを拒否している状況があるともいえますね。

戦後の高度成長期の日本のワークスタイルは、戦争中のそれですよね。 男性が兵士として24時間365日戦っている間、銃後の守りは女性がする という夫婦二人一組で役割分担しなければ働けないような社会の仕組み。 外で長時間労働する人とそれを支える人がいる。そのマインドが今日まで 続いてきたんです。
でも、第2回でもお話ししたように女性が活躍できる素地は整いつつあ ります。それを促進するように、政治、ビジネス、メディアでももっと発 言する人が多くなってほしいと思います。

社長解任

――2009年の社長就任時から大塚家具でビジネスモデルの改革に取り組 んできましたが、2014年7月の社長解任という事態が起きました。やは り、改革に対する反発が原因ですか?

それは遠因。 直接的には、父が 生まれ故郷の春日部に大規模物流センターを作る数十億円の投資案件を持ってきたことに始まります。 リーマンショック後 赤字が続き、2011年12月期にようやく黒字になり ましたが、少し売り上げが落ちると赤字がものすごく大きくなる財務構造 だったし、2014年4月には消費税増税があったから、物流センターの新 設の前に生き残りのためにお金をかけてやらなければいけないことがあ ったのです。
50年近く苦労してきて、好きなように老後を送れなくて何のために成 功したんだかわからないっていう父の気持ちもわかる。でもやめてほしか った。
そうしたら 社長解任が提案されて取締役会で通ったっていうことです。 父が会長と社長を兼任し、私は取締役として残ることになりました。

ジェンダーを考える【PDF版】

※第5回「メディアとジェンダー」は2022年1月11日にアップの予 定です。

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