労働遺産

「働く文化ネット」との意見交換会を初めて開催

2024/04/22

 

ワークルール検定や労働に関する映画の上映をはじめとする教育・研究事業を活発に行っている「働く文化ネット」(代表理事・細野誠一)との、初の意見交換会を、12月7日午後、ちよだプラットフォームで開催した。

同団体は2013年6月に設立されたNPO法人。働くときに必要な法律や決まりを身につけられるワークルール検定の実施機関でもある。このワークルール啓発事業のほか、労働映画事業では一世紀余の映画史の中から厳選した「日本の労働映画百選」も知られている。

ワークルール検定は10年間で2万人が受検、労働映画事業ではこの間で115本の映画を上映してきた。このほか、公開研究支援、労働資料保存展示の事業など幅広い活動を行っている。

同日は、「働く文化ネット」から小栗啓豊・幹事と高橋均・日本ワークルール検定協会理事が出席。眼玉事業の一つである労働映画事業の中からDVD化のため修復した「京浜労働者」(1953年)を上映しながら、小栗氏が同事業のもつ歴史的な意義と特徴について解説。10周年の記念として上映してきた労働映画百選の通信を取りまとめた合冊版を発行し、これに加えて海外編(1)・労働映画(制作年1894~1989年)の目録を作成したことについても紹介した。

また、同団体の中心的な事業であるワークルール検定創設の経緯を紹介した。北海道労働委員会会長を務めていた道幸哲也北海道大学教授(2023年逝去)らが、ワークルール教育の必要性を訴え、2007年に「NPO法人・職場の権利教育ネットワーク」を設立。その後、同ネットワークがワークルール検定を始めると聞き、連合として、北海道だけではなく、全国で実施したいと道幸先生の強力を得て、日本ワークルール検定協会を設立し、スタートした。

現在は、厚生労働省や日本生産性本部、経営者協会、商工会議所、社会保険労務士会など、幅広い後援を得ながら検定(初級・中級)を実施している。
労働教育の一環として、同検定を活用する地方連合会・単組・産別は広がっている。同検定の受験を管理職登用の際の要件としている企業もあるという。
しかし、ボランティアで運営する同検定を「持続させるのは大変」(高橋氏)という実情もあり、「組合役員になったら、検定を受けることを習慣化する運動が必要」(高橋氏)と訴える。

このほか、労働運動のOBにその運動の歩みや思いを後世に伝えるための「聞き取りプロジェクト」も開始している。
こうしたオーラルヒストリーの公開方法等は未定だが、「歴史をつなげていく仕事は不可欠」との思いも強い。
労働ペンクラブの労働遺産認定事業を含めて、各種団体で個別に実施している歴史を継承する取り組みとの相互の連携・強化の必要性を感じたヒアリングとなった。(荻野登)

20240422b.jpg働く文化ネットの活動を説明する小栗さん(左)と高橋さん(右)
20240422a.jpg働く文化ネットの資料を見る会員たち
  
 

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