国際交流

2018年は極東ロシアを訪問しました

2018年6月12日

 

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「トスカ」の国・ロシアと日本

訪問団長 稲葉康生

ロシアには「トスカ」という言葉がある。出発前に友人からのメールで知った。憂い、哀しみなどの意味があり、ロシア小説のキーワードになっているという。

調べてみると、日本にも「暗愁」という言葉があった。平安時代から使われていたようだが、昭和に入り死語になった。高度成長、贅沢な暮らし、深く物を考えずに流れていく日常、それらによって社会から「暗愁」が消えたのか

初めてのロシア。今回はロシア人の表情に注目して街を歩いた。楽しげに歩く若者は日本と変わらないが、中高年以上の表情は、浮かぬ顔をした人が多くいた。そう、ロシアには日本にはない「トスカ」の風が流れていた。

極東ロシアでは産業が振るわず外国企業の進出も少ない。地域にいい仕事がないので人口流失が続く。日本企業も市場規模の小ささから進出に積極的ではない。また、大学を卒業してもいい仕事がないので、モスクワや中国、日本などに逃げ出してしまう。過疎化が街の活気を奪うのは仕方のないことか。ソ連崩壊後、社会主義から市場主義へと激変したが、マネー主義に馴染めないのかもしれない。「ソ連に戻りたい」という声もあるようだ。

プーチン政権が年金支給年齢の引き上げ案を示し、これに国民が反対をしているとの記事を読み、現地の労働組合に聞いてみた。だが、反応は鈍かった。平均寿命と年金支給開始年齢が同じとなるのだから、「棺桶の中で年金をもらうのか」となり、さぞ反対者が多いと思ったが、肩透かしをくらった。

市場主義経済に変わったが、現実には経済が低迷し市場主義に馴染めないロシアの人々は、益々「ふさぎの虫(トスカ)」に食われてしまうかもしれない。だとすれば「暗愁」を忘れた日本は、どうロシアと向き合えばいいのか。少し重い気分でロシアを後にした。

誇りの高さ故

中桐幸子

ロシア極東二都市には、秋を目前にした夏の日差しと涼しい風が吹いていた。身勝手な印象を三つ。 ①凜とした表情 街ゆく人の表情は硬い。無愛想である。そのココロは「笑顔を見せることは相手にへりくだる、迎合する姿勢」とのこと。ひとえに誇り高き大陸型の国民性の故とのこと。

②平均像が描けない 会見の席。平均値、実例や個人的な見解の質問には肩透かしを食らうことが多かった。上が黒と言えば白でも黒。日本で言うところの忖度連鎖の側面を垣間見る思いであった。

③ワインはハラショー 土産のワイン。おいしくない、渋いと不評であったが、翌日は空気に触れておいしさが開花。これによってロシアの印象はメデタシなのでした。

北方領土は返還されるか

森下 一乗

父が樺太で勤めていたこと、私が北朝鮮からの引揚者であることから、北方領土の返還を期待するものであるが、その実現性ついては楽観は許されない。ウラジオストク、ハバロフスクの2都市を回り、関係者に尋ねたところでは、返還が近い将来に実現するという話は聞けなかった。

戦争で失った領土は返還されないというジンクスも聞かれる。ロシアとしては、極東地区開発に協力してくれたら、話し合いに応じるというのが、本音であるように思えた。

9月11日から13日までウラジオストクで開かれた第4回東方経済フォーラムで、プーチン大統領は、安倍首相ら各国首脳が参加した全体会合で、領土返還前の日ロ平和条約締結を提案した。

外交は、自国の期待だけでは前に進まない。今年は「ロシアにおける日本年」ということで、各種の文化交流が行われている。経済協力も合わせた地道な努力が、北方領土返還の実現に役立つことを期待したい。

落書きはアート?

荒木 馨

ウラジオストク空港に着いたのは夕刻で、市内に移動中のバスから見た美しい夕焼けと、東の満月が、まず印象に残った。市内は坂の多い街で、隣に行くにも坂を上りそして下ってたどり着くという按配である。不凍港として有名な港は、内陸の奥深くまで入り込んでおり、軍港らしく潜水艦や軍艦を間近に見る事ができた。

夜、シベリア鉄道でハバロフスクへ移動。個室での語らいや、食堂車での交流は楽しかった。朝、外を見ると列車は森の中を走っていた。

ハバロフスクは美しい街で、道路は街路樹で覆われ、歩道には色とりどりの花壇が並べられている。 バスで走っていると、ところどころの建物の壁や塀に落書きがしてある。ロシアではアートとして社会的に認知されているという。不思議だ。

17.jpg極東連邦大学で説明をしていただいた大学関係者と固い握手

18.jpg沿海州労働・社会開発局から説明を聞く

19.jpg在ハバロフスク日本センターで説明を受ける

20.jpgハバロフスク郊外のダーチャ(菜園付きセカンドハウス)で農園芸を楽しむ夫婦を訪問

  
   
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