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労組生産性運動の果たした役割りと今日的課題

2019/11/05

 
西澤昇治郎幹事

石川島播磨重工労働組合(現IHI労連)委員長、基幹労連委員長代行を経て全国労組生産性会議(全労生)の事務局長を9年間務めるなど、長く生産性運動にかかわってきた西澤昇治郎幹事によるアフター5が10月24日、「労働組合と生産性問題」をテーマに開かれた。22人が参加した。

現在のIHIは1853年の石川島造船所創設を起源とし、その後、渋沢栄一氏が会長を務め、航空機・自動車・タービン製造などへと事業を拡大。一方、石川島労組の源流は1887年の同盟進工組で、これがわが国初の労働組合ともいわれているという。

終戦後、1946年に石川島職員労組が結成され、その直後に生産協議会設置で合意。さらに54年には経営協議会協定を締結し、左右の対立が激化する中でも経営参加と産業民主主義を運動の柱に据えてきた。その後、金杉秀信委員長の米国視察などを通じて生産性運動についての認識を深め、1969年に全労生に加盟する。

労組の立場から自主的に生産性運動を推進する全労生の活動は、民主的労働運動の理念の普及や健全な労働運動の発展に寄与するという当初の存在意義に加え、西澤氏は技術革新への対応と国際競争力の強化、さらに資源小国日本における豊かさの実現といった点でも大きく貢献したと指摘する。

しかし、組織率が低下するなか、改めて原点(原理・原則・前提)に立ち返った運動展開が必要だとする。全員参加型の運動に加え、生産性三原則の誠実な履行が求められるとした。そのためには、労組の持つ資源を意識改革や人材育成に投入すべきだと課題提起した。

なお、今回初めて千代田区紀尾井町・紀尾井町ビル内のセレモア・セミナールームを利用して開催した。

(荻野 登)

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