私の主張

年収の壁・支援強化パッケージの危険と注意点

2023/12/11

 
会員・村岡利幸(労働総合コンサルタント事務所長)

次の通り、標記の中身のポイントと関連をまとめました。

厚労省も、どのSNSも、制度の解説の領域を出ない、ものばかりです。
たしかに、コールセンターも、制度域外になると、管轄が違う、会社の扶養手当や健保組合の被扶養否認までは知らないと、型にはめられた返答ばかりです。 私の判断は、「会社もパートも、仕事の意欲をそがれる。その金銭実損は、労使双方で収入ダウンになる確率が大きい。」です。

ぜひ、お読みいただき、政策による仕事意欲の更なる喪失や、人材不足を招来されないよう、ご注意いただきたく存じます。


[罠 わなだ!」パート等の年収の壁支援パッケージ

・・・ これは、労使共々に、貧困促進を進める、姑息な政策だ。
(※ 法令解説を含むため、用語や文章がぎこちなく読みにくいです。)

n:年収106万円・1[利村1] 30万円の壁といった、"労働意欲を阻害する壁"といった制度の廃止ではない。だから、罠わなだ!官僚たちは、「どうせ、パートや国民はアホだから。」と、タカ(高)をくくっている。そして 「手練手管のごとく・隠れたハードルをいくつも備えておけば、アホは疲れて諦める。」~これが彼らの狙いのようであり、専門家からすれば、そうとしか受け取れない。

n:「社会保険の加入促進」と名は打っていても、2025年の年度末まで限りの、たった2年半限りの措置である。だが、その年度末になって、「終了」と言っても、 26年度からの労働条件を下げるわけにはいかない。あれこれ厚労省やコールセンターが説明をしたとしても、「厚労省の管轄外です。(肝心な事は)民間業者や民間人が任意で自由に行ったことですから。」とする骨組みなのだから、である。これでは労使・民間同士の利害関係トラブルの素になり、裁判所の労働法に基づく判断は、これまでの判例も含めて予見するに、総じて使用者が負ける事は間違いない。私筆者は専門家責任を以って言うけれど、「良さそう?な話だけれど、働く側の将来のマイナスは大きい。そしてその損害を使用者が被らされてしまう。」ということだ。

n:もとより厚労省は、巷で流されている、いわゆる「偽:人手不足(後に解説)」の根本分析とか労働需給改善とかも、少したりとも、そこにメスを入れた訳では無い。ハローワークあたりでは、現状はよく把握しているようだが。

n:加えて、肝心の健康保険組合の対応については、その対応が義務とはなっておらず、引き続き被扶養者扱いとするか否かは、各健保組合の任意自由にゆだねられている。健保組合がOKしない限り、今まで通り被扶養者から外される。

n:そもそも年収の壁といった問題は、そういった行政機関の手練手管の範囲内に在るのではない。

n:扶養家族かどうかの判断は、パートを扶養する扶養者と、その扶養者である社員などを雇用する事業所(以下、「当該企業)と呼ぶ)に於いての労働契約= 当該企業の就業規則や労働協約の裁量問題であって、民間の統治権と自治権の任意・自由に委ねられているのだ。当該企業が、社員などの被扶養者の面倒まで見るかどうかは、今回の厚労省が扱う対象外(コール相談センター)とのことだ。もとより家族手当は、太平洋戦争中の"徴用"制度の名残であって、確かにそれを戦後も引き継いだ利用効果はあったけれど、昨今の大きな時代転換期にはそれなりの利用効果となる理由は無い。よって、当該企業が社員などの被扶養者並びに扶養(家族)手当をどう取り扱うか、手当支給の対象から外すか否か、引き続き同額の手当を支給するか否かも、当該企業の統治や労使自治の任意自由なのだ。そこには、パート労働者が"口"を出す権利すらない。私筆者は断言する、「ご主人の給与総額に入っている、扶養手当が"ゼロ=0"になり消えてしまう可能性は非常に大きい。」と。耳のある人は聞いてください。

n:→さらに、 2025年3月の年度末までの実施である。となれば、就業規則とか労働協約で定めた扶養手当を根拠に支給をしているから、場合によっては、" 2年間を超え実施すれば就業規則とか労働条件の慣例" になりかねない。だとすると、期限切れの2026年の4月以後から、この支給をめぐっての紛争も予想され、「家族手当無期限支給の訴訟」 (★『引き続き同額支給せよ、法改正は労働条件切り下げの理由には出来ない。 』)といった主張も、勿論、起こりかねない。訴訟が起これば、概ね使用者側は敗訴する。

n:今般の、"こういった罠"は、もとより国税庁が加わった政策でもないから、"年収106万円・130万円"の年収壁支援政策としては眉唾ものだ。第1に!、ダブルワークやトリプルワークを、「税務署に分からないように」行えばいいだけの話だとしている人の有無を無視している。年金事務所(旧社会保険事務所)、労働基準監督署、職業安定所が行政指導に入ったところで、現行法を度外視して、 そのパート等の就労先数カ所を通算した "1労働日ごとのの労働時間通算処理"や、その法施行手段を行政が実行していない実情も現存している訳だから、諸行政機関の不作為を指摘されればどうするのか。

n:ちなみに、"中核的なパートタイムのスタッフは、毎週少なくとも20時間超の就業時間を確保"する雇用傾向にあって、今般の、いわゆる「安かろう & 悪かろう」の労働力活用からはイノベーションをしている。 ★"パートタイム活用"や★"有能な専業主婦短時間雇用"といった労働力イノベーションに対しても、今般の年収壁支援政策はブレーキをかけることとなっている。まさか、「 2年経ったけれど社会保険加入促進」は仕方がないから続けるといった経営管理方針を等は単なる悪夢である。パートや女性の労働生産性に掛かる、その一気向上策の例とは、次のURLのようなものである。(参考: 健康保険の政策制度は、戦前の工場法に端を発する。また、年金制度は、江戸時代からの "奉公人が身を引くときの「手切れ金」"といった理念が今も存在するから、念のため。

https://soumubu1.blogspot.com/2023/07/blog-post.html#255-10

(後解説はここ)
昨今、現実・現場で生じている人手不足とは、「最低賃金で、主婦や高校生などを安価に使おう」、との求人思惑であるとか、「やりがいも無ければ、単調で意欲も削がれる仕事の毎日だ」、とか、「職場の女性間の人間関係争いとか"お局"の仕切り合い、"宝塚"の如く旧日本陸軍式だったり、上司や経営者が女性同士の人間関係に"くさびを打つ"」といった、清算や効率よりも、経営者とか"お局"の保身を優先する経営に原因(過失責任)がある。 これらは人事管理とか経営管理の、初歩的な術を知らない管理職配置だからこそ生じる、素人の世界である。戦後78年、こういった素人の愚策(ぐさく)は社会に迷惑だし、経済的にも浪費しか産まないから、「自由平等の為の社会という制度の行政機関」であるならば、国や自治体の行政機関が、情報の集約・提供から始めて、各界の社会正義(反社会行為の排除)を促進することが重要である。そして社会の中で下支えの役割を果たす経済基盤にとっては、イノベーション(技術革新に非ず)が重要なのである。(この段落の最後に示した、"大義名分"こそは、歴史的大転換の大波に乗る経営管理の柱となり、その幾つかの国の基本法令は経営を擁護する道具に使える。)

イノベーション、経済学者シューペンターの定義

シューペンターが述べた新商品開発の例が適切である。
新商品とは、

  1. 新しい財貨、新しい原材料などの発見
  2. 新しい生産方式の開発・導入
  3. 新しい市場の開拓
  4. 新しい原材料、新しい半製品(いわゆる文明基礎商品)の発見
  5. 新しい事業組織を開発形成(社内・社内・ネットワークにわたり)

要するに、収益性、生産性、労働意欲性、効率性の四分野にわたって考えている。

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