私の主張

4月にメーデーでなぜ悪い

2023/04/24

 
鳥居徹夫 (会員、政治労働問題研究者)

中央メーデーが4月下旬に移行して、久しくなります。

ご承知のようにメーデーのはじまりは約一世紀前、アメリカの勤労者が一日8時間労働を要求したことに由来します。

ヨーロッパで産業革命が起きた直後は、労働環境や労働条件は、本当に悲惨なものでしたが、その改善を求めたのが労働運動でした。

戦前の日本も、『女工哀史』『ああ野麦峠』の文学作品に示されるように、一日12時間労働、休日は月2日、そして低賃金という状況でした。

今日では、原則として一日8時間労働で週休2日は当たり前、男女とも普通選挙権が行使でき、労働条件も大きく改善されました。

労働時間短縮も進み、しかも1988(昭和63)年から5月4日が休日(現在は祝日「みどりの日」)となったことで、(本来のメーデーにあたる)5月1日がゴールデンウィークの最中となり、組合員も組合役員もメーデーに参加しにくくなりました。

折角の長期休暇にもかかわらず、その真ん中の5月1日に勤労者個々人がメーデーに参加するとなると、この長期休暇を有効に使えなくなるからです。

この5月4日の休日化・祝日化などにより、中央メーデーの開催日が、ゴールデン・ウィーク前の4月下旬となりました。

たしかにメーデーという名称を直訳すれば5月ですが、4月に前倒しすることは労働組合員のニーズにも時代の変化にもマッチしています。

このゴールデンウィーク間の平日を、労使間で特別指定休日とする年間カレンダー協定の締結も進んでおり、また有給休暇の積極活用や、有給取得率向上を図られており、10連休も普及しています。

そもそも勤労者が長期休暇を十二分に活用できることこそ、労働組合運動の成果です。

5月1日のイベントでは、勤労者が集まりませんし組合役員もドン引きします。これら勤労者の生活環境の変化の中で、かつての固定概念が、勤労者生活の向上を阻害するようなことがあってはならないと思います。

5月1日はメーデーの記念日として残し、将来の祭日化も目指しながら、4月下旬にメーデー・イベントを実施する現在こそが、連合が目指す「働くことを軸とする安心社会」にも合致し、勤労者や家族のニーズに即したものと言えると考えます。(了)

過去記事一覧

PAGE
TOP