関西支部発

大阪労働者弁護団の活動紹介

2023/07/24

 
弁護士 (関西支部会員)小野順子

現在、私は大阪労働者弁護団の事務局長を務めている。今回は当弁護団の活動を紹介したい。

1.大阪労働者弁護団について

1975年、現在の大阪労働者弁護団の前身である「大阪地評弁護団」が結成された。1992年、名称を現在の「大阪労働者弁護団」に改め再スタートを切った。現在、団員(弁護士)は大阪を中心として約140名、賛助団体(労働組合等)は約80団体である。

2.労働事件の受任・相談活動

  1. 団員が受任する労働事件
    当弁護団に所属する弁護士は、裁判所や労働委員会において、労働者や労働組合の代理人として活動している。
    また、多数の団員弁護士が、賛助団体である全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部(以下「関生支部」)の刑事弁護人として、また労働委員会・裁判所における組合・組合員の代理人として活動している。近時、関生支部への激しい弾圧・攻撃が続いており、使用者側の不当労働行為のほか、関生支部の正当な組合活動を「威力業務妨害罪」「強要罪」として警察・検察官が組合員を逮捕・起訴するという信じ難い事象まで起こっている。当弁護団の団員が組合(員)とともに奮闘した結果、複数の無罪判決も勝ち取っている。
  2. 労働者のための労働相談活動
    毎週火曜18時~20時まで、団員弁護士による無料電話相談「火晩(かばん)ホットライン」を実施している(06-6364-8620)。
    また、ホームページ等を通じて相談を受け付け、団員弁護士が当番制で相談に応じている(有料)。

3.労働組合との共闘

前述の関生支部に対する刑事弾圧が続く中で、検察官が取り調べ中に組合員に執拗に組合脱退を強要したことが発覚した。これに対し、2022年1月31日、「検察官による組合つぶしを許さない!関西生コン労働組合弾圧に徹底抗議する緊急オンライン集会」を開催した。約90名が参加し、当弁護団の抗議声明が採択された。また、毎年5月1日には「中之島メーデー」(中之島剣先公園)、「MAY DAYあまがさき」(尼崎市内)「港地域メーデー」(大阪市港区入船公園)等に参加している。

4.学習会等

団員らが講師となり、組織の内外に向けて学習会を実施している。コロナ禍になってからはオンライン開催を中心としており、遠方からの参加も可能となった。春・秋の基礎講座のほか、昨年は障害のある労働者の問題に関する講座、今年は名誉毀損に関する講座も実施した。

5.出版活動等

これまで、労働契約法や「働き方改革」を解説する本や、「活用しよう労働委員会~理論と実践 Q&A」「整理解雇と分限免職~とことんすべての労働者のために~」等の書籍を出版してきた。いずれも「労働者のために」という立場を貫いて執筆しており、コンパクトでありながら専門知識が網羅され、読みやすいと好評をいただいている。また、労働者の権利をわかりやすく簡潔に書いたオリジナルクリアファイルも製作しており、メーデーなどで配付するほか、有料販売も行っている。
(書籍やクリアファイルのお申し込みはホームページhttps://www.lalaosaka.com/からどうぞ。)

6.声明の公表等

昨年、公表した当弁護団の声明等は次のとおりである。

  1. 2022年2月1日 国家権力による不当労働行為に抗議し労働者の権利を護るための声明
  2. 2022年6月17日 「解雇の金銭解決制度」導入に断固反対する声明
  3. 2022年6月23日 大阪地方裁判所と大阪地方裁判所第5民事部 (労働部)に申入れ書提出(民主法律協会との連名)

7.韓国民弁との交流会

韓国の「民主社会のための弁護士会」(民弁)労働委員会と交流会を続けており、1年ごとに日本と韓国を訪問し合っている。訪日の年には、大阪での開催のほか、沖縄や広島で開催したこともある。コロナ禍の折はオンラインで交流を続けていたが、今年の第24回交流会は、2023年2月10日から13日まで、民弁のみなさんが大阪にお越しくださり、久しぶりのリアル交流となった。メイン行事は、両国の労働問題をめぐる裁判や法改正の動向などを発表し質問しあって議論を深める合同セミナーである。日本からは龍谷大学の脇田滋名誉教授と武井寛教授にも参加いただき、韓国からも釜慶(プギョン)大学の鄭永薫(チョンヨンフン)教授に参加いただいた。韓国では、現在、労組法の改正を求める「黄色い封筒法」制定運動が広がっており、一日かけて行った合同セミナーの最後に、「韓国の労組法第2条第3条の改正を求める韓日法律家団体共同宣言」を採択した。(詳細は当弁護団のホームページをご参照ください。)

8.機関誌の発行

年6回、偶数月に機関誌「LA-LA通信」(ララつうしん)を発行しており、団員弁護士、賛助団体、購読申込みをいただいた方に届けている。事件報告・法改正などの他、団員が携わっている事件報告、映画評・書評等を掲載しており、2年前から執筆者の顔写真を掲載するようにしている。編集担当者は、毎回、構成に頭を悩ませ、記事集めに苦労し、締切りが過ぎても届かない原稿にやきもきしながら発行にこぎつけているが(この「支部通信」も同じと思います。ギリギリの入稿申し訳ありません)、有益な情報を届け、団員や賛助団体をつなぐ貴重なツールとして価値は高いと感じている。

9.最後に

以上のとおり、つらつらと活動内容を書き連ねてきた。事務局長に就任してから1年7か月が過ぎ、残りの任期も少なくなってきた。日常業務の合間に事務局長の仕事をするのは正直言って容易ではないく、専従職員さんの力を借りて何とか格好をつけているというのが実情である。しかしながら、団員弁護士が互いに研鑽を重ね、労働者の立場にたって活動する仲間を増やしていくために、これからも尽力したいと思う次第である。

20230724a.png「労働者のためのクリアファイル」を発行!!

20230724b.png『働くあなたを応援する!本』
ダウンロード版をHPに公開!!

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