特集

詳報!第3回東西交流幹事会を開催

2025/10/20

 
(会報225号=25年9月25日号より転載)

2025年度労ペン東西交流幹事会(含む施設及び既認定労働遺産見学)は、7月30・31日、大阪において開催された。その概要は次のとおりである。

7月30日午後3時より大阪公立大学文化交流センターにて、東西の役員・幹事13名(東京5名、関西支部8名)が出席し開催した。議事は、受入側である森田関西支部代表の挨拶、植木労ペン代表の労ペンの現状と諸課題等を含む挨拶の後、東西の活動状況について報告し合い、これらを含む意見交換と自己紹介が行われた。また、終了後は、交流懇親会が梅田のビル地下街の台湾中華の店で行われ、参加者15名が相互理解と親交を深め合った。

施設・既認定労働遺産の見学

翌31日10時より14名が参加し、社会福祉法人石井記念愛染園本部(愛染園病院)を訪問、病院施設や介護現場の見学と意見交換を行った。その後、同法人が運営する愛染橋保育園の見学。続いて、既認定労働遺産である石井記念愛染園発祥の地「石碑」及び大原社研の大阪時代の跡地を示す壁面プレートと記念碑(大阪府なにわ南府税事務所)を見学した。炎天下の徒歩移動で全員汗だくになりながらも、認定労働遺産の意義と価値を改めて認識した。

古寺の参拝と住職による法話

昼食休憩後、希望者13名は、天王寺茶臼山町にある統国寺(百済古念佛寺で朝鮮の由来を継承する寺)を訪問し、住職より同寺の歴史や日韓関係の由来、人間社会のあり方等の法話を聞き、午後3時30分散会した。(西澤昇治郎代表代理)

交流幹事会と労働遺産認定遺産見学とのコラボは大成功

代表・植木隆司

「天は父なり、人は同胞なれば相信じ相愛すべきこと」―。22年度の労働遺産のひとつとして、大阪・日本橋の「石井記念愛染園創立100周年記念碑」を認定したが、今回は、2日目に、記念碑見学の前に、同園も訪問した。同胞愛をうたった冒頭の言葉は、設立者の石井十次氏が作成された創設理念の一節だ。愛染園が創設されてから、108年を数える今、世界は分断され、自分ファーストがまかり通る。参議院選では、トランプ氏のものまねのような、「日本人ファースト」を叫ぶ新興勢力が躍進した。石井氏が今のこの社会をご覧になったら、どんなに悲しまれたことだろう。

2019年7月に改めて開催された「東西交流幹事会」は、コロナ禍の影響で一度、中断。23年7月、東京で2回目、今回はホストを関西支部にお願いし、大阪で開催した。森田定和支部代表を始め、関西支部役員の皆様にお礼を申し上げる。2回目でも、友愛会館の認定遺産(日本労働運動発祥の地記念碑等)を見学したが、今回はさらにブラッシュアップ、支部会員にも呼びかけて参加を募り、非会員の飛び入り参加もあった(その後、入会へ)。

見学会では、認定証を受領してもらえない、大阪時代の大原社会問題研究所のプレート、記念碑も拝見(歩道沿いの壁に埋め込まれたプレートに目をやる通行人はなく、庁舎裏側の記念碑はひっそり)。時代に取り残されたような遺産を見て、まさしく、このプレート、記念碑を認定したことが、労働遺産活動の意義、使命だと思った。

初日の交流幹事会で東京―関西支部の活動の現況や課題を知り、懇親会では腹蔵なく議論を重ね、2日目には、労働遺産認定案件を訪ねるという交流幹事会のパターンも定着してきた。

交流幹事会では、関西支部初代代表で、会友の板東慧さん、労ペン創設時のメンバーだった師岡武男さん、昨年7月に他界されていたことが最近わかった石原喜久さん、そして、7月21日に、天国に旅立った現職幹事の澤田和男さんの冥福を祈って、黙祷した。4人の方々に共通しているのは、労ペン活動を通じて、社会に向けて、「相信じ相愛した」ことだったと思う。分断の世界で、異業種異文化交流を重ねてきた「日本労働ペンクラブ」。これからもこの貴重で大切な組織を継続させたいと痛切に感じた東西交流幹事会・労働遺産見学会だった。

大阪開催と今年の交流幹事会の意義

関西支部代表・森田定和

東西交流幹事会は、任期2年の役員改選後に"距離は遠いが、顔を合わせて親密に"をモットーに本部(東京)と関西支部の役員による顔合わせを趣旨とし、1泊2日の日程で開催されて来た。3回目の今回は大阪で開 催され、本部役員を支部役員一同でお迎えした。

大阪開催と今年の交流会の意義の第一は、1日目の交流幹事会、その後の懇親会を経て、相互理解が深まり親睦を深められたこと。

第二は、2日目に労ペンが認定した労働遺産「石井記念愛染園創立100周年記念碑の認定証交付先である社会福祉法人石井記念愛染園(本部は愛染橋病院内)を訪問したことで、労働に尊厳を持ち労働者を大事にする事業所は発展することを確認できたことである。

「児童福祉の父」、石井十次氏が1902(明治35)年に孤児救済の拠点を設立、没後の1916(大正5)年には大原孫三郎氏(倉敷紡績社長)が大久保利武・大阪府知事の協力も得て、石井氏の遺志を継ぎその偉業を完成し、その人格を永遠に記念するため「石井記念愛染園」の開設を決断。17(大正6)年に法人認可され、今日まで続いている。公的な社会保障制度が未整備な時代に、大阪の地に社会福祉の先達となり、 すでに108年を超える歴史を有している愛染園は、医療、隣保(保育など)、介護事業を運営され、その一端を見学した。労働遺産認定時の「戦前実業家の労働理想主義による労働環境改善と社会貢献」との評価内容 は、今も労使協議を通して実現されていて、とても感服した。

第三は、労働遺産を見学し歴史に学び、今を見つめ、将来の糧にできたことである。「石井記念愛染園発祥の地」顕彰碑(旧市立日東小学校)横に設置された説明板には「大阪市浪速区役所は、社会福祉法人石井記念愛染園が、法人設立百周年を迎えるにあたり、その業績を後世に伝えるために顕彰碑を建立する。2017(平成29)年3月22日」と明記され、感謝を思う。

他方、大阪府夕陽丘庁舎(現なにわ南府税事務所)裏、敷地内の人目のつかない所にある大原社会問題研究所の大阪時代の跡地を示す記念碑や通りに面した壁面プレートは、かつて同庁舎にあった府立図書館時 代の関係者が、石碑等を残し後世に伝えようとしてきた証。市に倣い府は説明板を設置し誠意を示すべきと改めて思う。

東西幹事交流会に参加して

幹事 田口晶子

筆者は、7月30日、31日の2日間、大阪で開催された日本労働ペンクラブ東西幹事交流会に参加したので、その感想を述べさせていただく。

1日目は、本部、支部それぞれから活動報告を行った。初対面の方も多く、多少緊張した雰囲気の中で、筆者は、ヒアリング・会員セミナーの実施について、講演内容も含めて紹介した。オンラインが不調な場合もあったが、ヒアリングに関心を持っておられる支部会員は多いようだ。

意見交換には多くの時間が割り当てられなかったものの、その後の懇親会では、趣味やルーティン(リードをつけてのネコの散歩、職業欄に農業と記載できる規模の野菜作りなど)の紹介も含めて、会話がはずんだ。

2日目は、最初に石井記念愛染園 愛染橋病院を訪問した。石井十次氏が、「隣人愛」に基づき、地域医療に貢献することを使命として1937年に大阪に設立した病院で、現在は周産期医療の先端的病院であるとともに、地域医療の総合病院でもある。看護師などの人手不足はないわけではないが、離職は多くないとのことである。

愛染園は病院のみならず、高齢者介護事業及び保育事業も運営しており、一部を見学した。参加者の中には、ご自分の家族介護や保育施設の利用と比較しながら質問される方も多かったが、常に利用者の立場に立つことを重視していると説明があった。

続いて、大原社会問題研究所跡地を示す石碑・プレートの前で記念撮影を行った。事情を知っているだけに、現物を目の前にするとやはり感銘を受ける。
公式日程が終わった後、朝鮮半島と関係が深い統国寺で、住職のお話を聞く機会を得た。分断についてあらためて考えた。
最後に、森田代表を始め、きめ細かな準備をいただいた関係者の皆様に、あらためて感謝を申し上げたい。

第3回東西交流幹事会開催

関西支部幹事 吉田一矢

昨年、栄えある労ペンクラブに入門許され、定年後の「新しい人生」の始まりとも言える出会いの機会を頂きました。

そんな一年生会員に関西支部労働遺産探訪担当幹事と言う願ってもない役回りを拝命。此度の東西交流幹事会は、私の初めての任務となりました。初日の植木代表のご挨拶にあったペンの方が少ない現状で若手記者の参画を!労ペンHPへのアクセス数増加し、その期待に応える「走る労ペン」にとの思いに強く共感しました。

二日目の労働遺産探訪に関しては、事前準備として7月16日、連れ合い同伴で現地下見を行いました。下見当日もうだるような暑さ。探訪当日を想定しながら気遣い歩いたつもりが、連れ合いから「歩くの速すぎます。お年を召された方もおられるのだから当日はペースを考えて!」と一喝。更に体温を越える暑さに熱中症の不安もよぎり何か良い術と考えあぐねた末、凍らせた飲料水を参加者にお配りし、手のひらを冷やしながら、溶けだした飲料水は水分補給する最新の熱中症対策を考えました。

労働災害対策の専門家も多く在籍される中、手のひらには「動静脈吻合」と言う動脈と静脈の結節点があり、そこにAVA血管と言う体温調節する血管が走っています。体温が上昇すると、この血管が開放され血流が活発化し、手のひらを通して熱を発散する。そこを冷やせば血中温度を急速に下げれると。解説が長くなり失礼。

二日目労働遺産探訪の感想は、将に「経世済民」を地で行く大原・石井両翁の生き様と統国寺の住職が言われた「違っていて、ありがとう」は深く心にしみました。これは、絶対顕彰すべしと。そして、此度の探訪通じて、歴史に学ぶ謙虚さと現場にこそ真実があると労ペンの使命と役割・信念を悟る二日間でした。

労ペンよ永遠なれ!ありがとうございました。

第3回東西交流幹事会・見学会の工程表

時 刻 内 容
【1日目】
7月30日(水)
午後3時 第3回 東西交流幹事会
大阪公立大学文化交流センター(梅田)
午後5時半 交流懇親会
【2日目】
7月31日(木)
午前10時 【関西支部施設見学会】
社会福祉法人石井記念愛染園を訪問
(大阪市浪速区日本橋)   
午前11時 【労働遺産見学】関西支部会員合流
戦前実業家の労働理想主義による労働環境改善と社会貢献(大原孫三郎等)「大原社研」創設期の遺構等
① 石井記念愛染園発祥の地「石碑」を見学
② 大原社研の大阪時代の跡地を示す壁面プレートと 記念碑(大阪府なにわ南府税事務所)を見学
午後1時30分 希望者→統国寺(古寺名:百済古念佛寺)参拝(天王寺区茶臼山町)
聖徳太子創建の寺。朝鮮の由来を継承する。

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