2025/02/25
2024年度(第44回)の日本労働ペンクラブ賞が内定した。選考対象となった著作は、以下の3論文である。
- 逢見直人会員「『友愛会』を源流とする労働組合学校の足跡」
- 神津理季生会員「未だ『戦後』は終わっていない~わが国の展望への一考察」
- 齊藤幹雄会員「雇用構造のフレキシブル化」
9月10日から10月21日までの募集に対して、中島敬方会員から前掲3点の推薦があった。3作品とも、近畿大学商経学会編『商経学叢』第70巻第2号(2023年9月)に掲載された論文である。
逢見論文は、1912年に結成された友愛会を源流とする労働者教育をたどることにより、今日まで100年余に及ぶ系譜を明らかにしようとする意欲的な取り組みである。
神津論文は、長く労働運動にかかわってきた著者が、わが国の「独特性」と「特殊性」という概念を手掛かりに、わが国の経済・社会上の課題に関して広範な思索を展開したものである。
齊藤論文は、雇用構造のフレキシブル化に関して4要素に基づく計算式を考案し、指数を算定した実証研究であり、時系列的なフレキシブル化を確認している。
10月16日と11月7日の2回、労ペン賞選考委員会(稲葉康生委員長)が開かれた。委員会ではいずれの著作も労ペン賞に値する、という評価で一致した。ただ、掲載誌が大学の紀要(論文集)という性格から、読者層が限られ社会的影響力が小さいのではないか、また、紙幅の制約から論究が不足している部分がある、などの意見が出された。最終的には、3作とも「特別賞」という結論になった。
この結果を11月28日の第11回幹事会に稲葉委員長が報告した。幹事会では満場一致で承認され、3作品の授賞が内定した。2025年1月9日に開催される第45回定期総会での承認を経て、同日授与式が行われる予定である。
なお、授賞3論文の掲載誌『商経学叢』は非売品だが、ネットで「近畿大学学術情報リポジトリ」→「研究紀要」→「商経学叢」→「70(2)2023」とアクセスすることで、論文を閲覧、印刷できる。
(担当幹事・谷田部光一)