労ペン賞

23年1月13日の総会で、労ペン賞を授賞された3会員のご挨拶要旨を再録します。

2023/03/27

 

著作:「70歳就業時代の雇用・賃金改革」(労働法令)

笹島芳雄会員

(体調不良で欠席され、メッセージが代読されました)

この度は、伝統ある労ペン賞を授与する、とのこと、大変光栄に存じます。体調を崩しておりますので、書状でのご挨拶とさせていただきます。

日本は世界の中で、様々な面で優れた暮らしやすい国の一つです。しかし、随所に問題は残っています。日本の労働市場でもいろいろあります。

労働力減少時代を迎えながら「60歳以上の高齢者の職業能力を十分に活用していない」という点もその一つです。授賞作が述べている「全社員統一型65歳定年制」を是非とも実現して欲しい、と願っています。そのためにジョブ型賃金の導入が効果的ですが、ジョブ型賃金は、もう一つの大問題である、「非正規労働者の不十分な処遇」問題の解決に資すると考えています。本書を通じて、その点も広がって欲しいと願っています。

簡単ですが、以上をもってご挨拶に代えさせていただきます。

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著作:「日本型共同決定制の構想」―「経済民主主義」による企業統治をめざしてー(明石書店)

高木雄郷会員

このたびは、日本労働ペンクラブ賞の授賞をいただき、喜びに堪えません。

本著は、私自身三回目の出版ですが、今までに1冊目は東北大学名誉教授の大内秀明さんとの共著で、1988年に総合労働研究所(現・労働開発研究会)から「連合時代の可能性」(真の人間解放と連帯をめざす)を出版。その前年にも、編著「九十年代の構想」(自主管理研究所)を出版しています。

文字通り単著としては初めて、私の人生の集大成になるものだと確信しています。現状の市場万能と資本優先の新自由主義のもとで、格差社会を超える思考、法制度が重要であるということで、「経済・参加民主主義」の発展途上国である日本の未来、新たな労働社会運動を切りひらく一助、ルネッサンスになればと思い、提言いたしました。

今後とも、「日本型共同決定制」の法制化、労働者経営参画によるコーポレートガバナンスの達成の目的のために、私たち経営民主ネットワークの活動を、これまで以上に尽力していきたい。引き続き、皆さんのご支援、協力をお願いいたします。ありがとうございました。

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著作:「SDGsの経営学」第2章日本的経営の源流と発展(千倉書房)

成瀬健生会員

特別賞をいただけるということで、大変、喜んでいます。NHKの「のど自慢」では年寄りが一生懸命頑張ってやると特別賞です。多分そういうことだろうと思って、小林委員長はじめ委員の皆さんに厚く御礼申し上げます。

この本を書くきっかけは、(独立行政法人)日本学術振興会に設置された研究会のひとつの「経営問題108委員会」が諸般の事情で解散になりました。解散記念で本を出して終わりにしようということになり、「SDGsの経営学」というタイトルが決まりました。私も委員の1人なので、それでは何か書きますと立候補しました。SDGsは、自然と共存する人間を大事にするという意味で、まさに日本的なもの、日本がきちんと発言すべきと考えて、寄稿させていただきました。この分厚い本の第2章が私の所で、それが受賞ということは大変、ありがたいこと。受賞などは初めてのことでございます。

さきほど、代表からもあったように、働き方改革は日本に合わないということでなかなかうまくいかない。終戦後、職務給を入れようということで、日経連も職務分析センターをつくり、一生懸命やったが、結局、職務給は部分的に入っただけだった。職務中心のジョブ型がどこまで日本に馴染むか労ペンの皆さま方にこれから研究してもらえればと思っています。

日本的経営を日本文化の源流から考えてみると、日本人と欧米流の考え方の基本的に違うのは、日本人は、人は自然の一部と思っていますが、欧米人は神によって特別につくられたのが人間で、自然は人間に征服されるべきものと考えて来ています。やはり人間も自然の一部で、人間は自然と共存という考え方がSDGsには必要です。もうひとつ。SDGsに全く合わないのは戦争。戦争は自然や人間の破壊であって、SDGsとは正反対のものです。日本は戦争を放棄しています。この2つを日本は経営に生かして、経営の柱にしていくべきと思っています。この辺りを今後、皆様方の研究の中で更に明らかにしていただければと思っています。

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