2026/06/22
(会報228号=26年5月25日号より転載)
鹿田勝一・会員
高市政権下で政労使の争点となっている労働時間の規制緩和に関して労働ペンは4月27日、厚労省の労働条件確保改善対策室の田邉錬太郎室長から「働き方改革関連法施行後5年の総点検」の報告と裁量労働制審議などついて質疑を行った。参加は会員32人である。
労働時間増やしたいは10.5%
調査は労働者30人が対象で、「労働時間を増やしたい」は10.5%、「減らしたい」30.0%、「このままがいい」が59.5%である。労働時間を「増やしたい」は「減らしたい」の3分の1となった。
「増やしたい」理由は「たくさん稼ぎたいから」が41.6%、「残業時間の収入がないと家計が厳しいから」が15.6%と、賃金の低さを示した。一方、「減らしたい」理由は「自分の時間を持ちたい」66.7%、「健康を害したくない」が12.3%など、ゆとり志向が目立つ。
企業ヒアリング(372社)では「労働時間を増やしたい」は53社で「人材流出を防ぐため残業代で稼げるように『囲い込み』のため」など。一方、「減らしたい」は73社で「人件費抑制のため」もみられた。
「働き方改革」で現行の労働時間は1日8時間、週40時間。残業時間は「36協定」で上限は月45時間、年360時間である。「特別事情」でも最大月100時間未満、2~6カ月平均で月80時間、年720時間と規制されている。
調査結果では「このままがいい」が59%、「妥当と考える残業時間」は0~45時間以下が93.6%を占めている。政府や財界が主張する「働くニーズ」としての労働時間延長や残業上限の規制緩和は、実態調査結果とは異なっている。
裁量労働制で質疑も
厚労省の労政審や高市政権下で新設された日本成長戦力会議の労働市場改革分科会で論議されている裁量労働制の拡大についても質疑が行われた。
裁量労働制は、あらかじめ決めた一定の時間を労働時間とみなす制度で、法定労働時間(1日8時間)も割増賃金も適用されない。適用条件は職種を限定し、労使委員会設置と労働者本人の同意が必要となる。導入された1987年は「専門業務型」の5業務に限定されていたが、その後の規制緩和で20業務に拡大。さらに「企画業務型」4業務にも導入されている。
労政審では、今回の調査結果を含め政労使で意見は三つに分かれている。労働側は「裁量労働制は長時間労働となっており、働き方改革に逆行し、規制緩和に反対」と表明。使用者側は「高市首相が指示しており、裁量労働制の拡大や残業時間の上限緩和」を主張。公益委員は「裁量労働」と「裁量労働制のみなし労働」とは異なると指摘。「業務」と「成果渡し」を使用者が決め、「業務遂行だけ裁量」では、「定額働かせ放題」になると問題を提起している。
質疑では「高市首相の強い経済と労働規制緩和は現場実態からかけ離れてないか。働き方改革の本旨は賃上げ・時短ではないか」、「ワーク・ライフ・バランスの放棄宣言を行った高市政権になってから、裁量労働制の拡大指示や違法解雇の金銭解決研究会設置の提起など三者構成の労政審は変化してないか」、「裁量労働制拡大で法制化の時期は」などがだされた。田邉氏は「裁量労働制については、これまでの調査を含めて新たな実態調査を行い、労政審での審議になる」との方行向を示した。
参加者が働き方改革のレクをする厚労省の田邊室長(右端)
働き方改革5年目のヒアリングで耳を傾ける参加者

