2026/09/07
講師・古村伸宏理事長
(会報229号=26年8月25日号より転載)
6月25日、労働者協同組合法の趣旨と成立過程について、日本労働者協同組合連合会(通称・ワーカーズコープ連合会)の古村伸宏理事長から話を伺った。
同法は、議員立法として、2020年12月に成立し、一部を除いて2022年10月1日から施行されている。
この法律を成立させるための取り組みは、1995年に市民会議を立ち上げたところから始まっている。しかし、当時、自主的な労働者は経営者であって雇用ではない。雇われない労働者は雇用ではない以上、法整備は難しいとされていた。2001年あたりから一度、法整備の機運が高まったが、挫折している。以降、同法を地方創生の一環として捉え、可能な限り超党派の議員立法を目指した取り組みを進めていった。
同法の立法過程での課題
同法の立法過程で課題になったのは、労働者性を否定すると労働法が適応されないことだった。全員が経営主体であるならば、「使用従属関係(指揮監督下の労働)」は理論上否定される。使用従属関係を完全に否定すると、法的な「労働者性」が見いだせず、労働基準法や最低賃金法などの各種労働者保護法制・保護措置が得られなくなることを意味している。しかし、立法の前提として、運用上の「新しい働き方」を実現しつつも、法制度上は労働関係法規から逸脱せず、スタンダードな労働者保護を適用することが絶対の命題だった。
共益権の行使という論理的基盤
苦心の末、衆議院法制局の第五部が生み出した知恵が「共益権」の行使という定義だった。共益権とは、組合員が組合の意志決定に参加し、組合の事業活動を是正・監督する権利を指し、組合員が意志決定に参加することが「意見反映」として担保されている。この共益権の行使こそが、労働の主体性を保ちながら、組織に属する労働者としての保護(法の適用)を正当化する論理的基盤となるという考え方である。
労働者の「積極的な経営参画」を肯定的に位置づける画期的法制度
こうして、単なる経営側からの配慮に止まらず、労働者の「積極的な経営参画」を肯定的に位置づける画期的な協同組合法制が誕生した。
協同労働の核となる三つの原理は次の通りである。
- 出資=組合員が出資する。資本形成を自ら行い、自主的・自律的な経営を目指す。
- 意見反映=一人一票の議決権・選挙権。事業経営活動に組合員の意見が適切に反映される。
- 従事=組合員が原則として組合の事業に従事する。労働契約を締結し、労働法が適用される。
現在、法人累計は191。展開エリアは38都道府県になっている。
(中村 章会計監事・記)
労働者協同組合法のヒアリングで講演するワーカーズコープの古村(ふるむら)理事長(左)
労働者協同組合法のヒアリングで古村理事長の説明に耳を傾ける参加者

