ヒヤリング

三井化学の副業制度の取組み

2024/02/19

 
三井化学人事部制度計画TL 片寄雄介氏
三井化学グローバル人材部部長 小野真吾氏
(会報218号=23年12月10日号から転載)

(23年)10月12日、「三井化学の働き方改革における副業制度の取組み」と題して同社の当該制度について、ヒアリングが行われ、活発な意見交換が行われた。説明者は同社人事部制度計画TL片寄雄介氏とその副業制度の実行者としての同社グローバル人材部長小野真吾氏であった。 実は、本稿筆者(得丸)は、三井化学のOBである。20年程前に人事部長を拝命し、その後人事担当役員も経験した。従って、二人は私の元同僚であり、その縁で今回のヒアリングも依頼することになったものである。

筆者は本年8月に労ペンのある懇親会に参加し、労ペンの運営について意見を述べる機会があった。その際に、労ペンでのこれまでの議論には実際の企業の最先端の人事施策についての話題が少ないのではないか、と述べたところ、そう言う面も有ろうから、自分でその領域の動向について分かるものをアレンジして欲しいということになり、今回のヒアリングに至った次第である。

現代は多様性の時代と言われている。労働の世界でも極めて様々な働き方が現れている。副業以外にも、在宅勤務、ギグワーク等、私の現役時代には、考え方としては有っても具体的に行っている事例は殆ど無かったように思う。それらが今日当たり前のように行われ、特に若い人達に支持されていることにはまさに隔世の感がある。

私は、企業経営における人事施策と社員の仕事はwin-win関係で進められることこそ王道と思っている。その点で、今回説明のあった副業制度はまさに、社員側の自己実現意欲と能力開発等、会社側の人材獲得・育成等、様々な点でwin-win関係を模索する物であろう。勿論、この副業制度の実施に当たっては、時間管理・健康管理や本業への支障、情報漏洩等のリスクへの対応等、会社・社員双方にとって考慮せねばならない事象が多数存在する。
三井化学の取組みは、社員側の希望を吸い上げ、多様なリスクを地道な検討で潰して行ったことに特徴がある。その状況が今回極めて明確に説明されたように思う。当日の出席者との質疑も具体的な副業案件の事例の中身や、その認定条件の運用状況等極めて現場的話題が多かったが、その都度の説明によって会社側が両者の立場を非常に深く検討してきていることが良く分った。又、その副業制度の実行者としてのグローバル人材部長小野氏の事例発表も極めて興味深いものだった。人事部門の要職にある小野氏自身が副業を活用することで、同社内において同制度について社員の背中を押す効果は大きいであろうと推察した。

今回は、まさに企業における人事制度の先端事例の一つとして副業を取り上げた訳だが、このような事例はIT絡み、グローバル対応を始め、ジェンダー平等、少子化問題等々まだまだ多数あろう。労ペンとして、今後もこの種領域のヒアリングテーマを積極的に取り上げて頂くことを期待したい。

(会員・得丸洋 オフィス一夢代表)

三井化学の副業制度への取り組みについて答える片寄さん(中央)
三井化学の副業制度について説明する片寄さん(右)と小野さん(中央)
  
 

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