労働遺産

2023年度労働遺産認定についての答申(抜粋)

2023/12/25

 

労ペン労働遺産認定委員会は、11月30日の第10回幹事会に、23年度の認定をめぐり、申請されていた2件の審査結果を報告し、満場一致で承認されました。これを受けて、24年1月11日の総会に報告します。


日本労働ペンクラブ 労働遺産認定委員会
委員長 西澤昇治郎

本委員会は、日本労働ペンクラブ2021年度総会(2021年1月12日)で決定した労働遺産認定要綱に基づき、2023年4月27日設置(第4回幹事会)され、会員より申請された労働遺産候補について審議を行いました。その結果、下記の候補について推薦し、労働遺産として認定を承認されるよう報告いたします。
なお、珪肺法成立記念碑の認定に関し、認定証交付先を一時保留とさせていただきましたが、その現状認識と具体的取り扱いについても、付議事項として報告させていただきます。

日本労働ペンクラブ認定労働遺産候補

  1. 登録内容:珪肺治療発祥の地の珪肺法成立記念碑
    (申請内容及び参考資料は別添申請書による)
    ○認定遺産および認定証交付先
    <認定遺産>
    ・珪肺法成立記念碑
    <認定証交付先>
    ・一時保留(調整待ち)とし、具体的取り扱いは別記付議事項による。
  2. 登録内容:法定最低賃金全国第一号の記録
    (申請内容及び参考資料は別添申請書による)
    ○認定遺産および認定証交付先
    <認定遺産>
    ・最低賃金全国第一号記念碑ならびにそれを裏付ける文書資料
    <認定証交付先>
    ・一般財団法人清水港湾博物館
    ・一般社団法人静岡缶詰協会

付議事項

前記の認定労働遺産候補の1.登録内容:珪肺治療発祥の地の珪肺法成立記念碑に関し、その取り扱いを以下のとおり本答申の付議事項とする。

  1. 現状認識
    珪肺法成立記念碑は、獨協医科大学 旧日光医療センター(栃木県日光市高徳632番地)敷地内に建立されている。この所有者である獨協医科大学は、「労働遺産の認定を決して否定するものではないが、現在、旧病院の資産(建物、土地等)に関する今後の運営・管理について、様々な調整をはかっているところであり、今、認定証を受け入れることは難しい状況にある」とのスタンスにある。
    この背景にある地域医療の管理・運営に対する複雑な事情や難しさは理解するものの、一方では、この記念碑は、珪肺に侵された入院患者(労働者)の人達が中心になり、医師の管理の下、毎日10人ずつ10分間の労働を行い、地ならし、土台築き、碑文彫刻を行うなどして建立したものである。この歴史の証である記念碑は、真に労働遺産として相応しいものであり、これを継承・保全することは極めて意義のあることである。
  2. 具体的取り扱い
    • (1)認定証交付が実施に至らず、対象要件に照らして課題が無い訳ではないが、上記現状認識を踏まえ、労働遺産認定活動を推進する視点で総合的に勘案した場合、現時点で労ペンとして本案件を労働遺産として認定(推薦)することが妥当と判断する。
    • (2)したがって、認定証交付は一時保留(調整待ち)取り扱いとする。
    • (3)その上で、新たに所有・管理者が確定した時点で、申請書の当該部分を修正するとともに、あらためて認定証交付について当該者間で調整を進める。
    • (4)この間における、調整や管理等の実務は、労ペン労働遺産事務局が担うこととする。
  
 

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