2024/09/17
日本労働ペンクラブは、9月5日午後、都内で、パネル討論会「働く現場の歴史を後世に伝えるために」を開催、そのために「参加者全員が弛まぬ努力を続けていく」とのアピールを採択した(HP編集部)。
事業開始から4年目を迎えた日本で初めての労働遺産認定事業について、日本労働ペンクラブ(植木隆司代表、173人)は、9月5日午後、東京・神田錦町で、東大名誉教授・仁田道夫氏、法政大大原社会問題研究所所長・榎一江氏、クラボウ記念館・小松亮館長(クラボウ執行役員総務部長)、ふるさと奈川・奥原仁作社長の4氏をパネリストに迎え、この事業活動について、活発に議論した。会場参加とオンラインでのハイブリッド方式で、49人が参加した。結論として、「私たち自身がその意識を認識し、積極的に活動を展開、広く社会に訴えかけ、支持や協力を得ることが不可欠」とした上で、「働く現場の歴史を後世に伝承するため、弛まぬ努力を続けていくことを確認する」というアピール文を満場一致で採択した。
「社会的に認知することが重要。ひいては日本社会に生きていく人々の記憶として残っていくことだろう」「今、現時点での資料の収集を続けることが大事だ」―。東京・神田錦町のちよだプラットフォームスクェアで行われた労働遺産パネル討論会。会場には41人、オンラインでは8人の計49人が参加して、午後2時ちょうどに開催した。冒頭、植木隆司代表が「2018年11月のアフター5で労働遺産事業への取り組みが議論され、途中、コロナ禍もあったが、ようやく、ここまで来た。世の中に、労働遺産の大切さを訴えていきたい」などと挨拶。第1部では、この事業の推進役の西澤代表代理(労働遺産事業担当)が、この事業の背景、活動経過と実績、事業の仕組み、課題と対応の項目ごとに簡潔に報告し、「歴史はだれかが残し、紡いでいかなければ後世に残りえない」と指摘し、「この討論会が労働遺産の継承・保全に向けた当事者としてのインセンティブになることを期待する」と、事業への主体的な参加を訴えた。
第2部のパネル討論会では、担当の浅井茂利幹事がコーディネーターを務め、「労働遺産の位置づけ」「事例報告」「認定事業への期待」などの項目ごとに、各パネリストの発言を求めた。研究者としての仁田教授の問題提起のあと、大原社会問題研究所の活動状況、岡山・倉敷のクラボウ記念館の現状、野麦峠のある信州・松本の活動実態が報告された。各パネリストに共通していたのは、「どう社会に発信していくか」―。「地元で、地域で、遺産を後世に伝えようとしていく行為を認知してもらい、光を当ててもらいたい」と奥原社長が訴えると、会場からは「認知度は広まりつつあるが、一般に、どれだけ認知してもらえるか」との提起があった。
最後に、関西支部から駆け付けた薗田早織・労働遺産PT事務局委員が「働く現場の歴史を後世に伝承するため、弛まぬ努力を続けていくことを確認する」というアピール文を読み上げ、満場一致の拍手で承認した。
労働遺産として認定させていただいても、まだまだ、「労働遺産」というコンセプトがマスコミも含めて、社会に認知されているとは言い難いのが実情だが、「労働遺産に認定されても知らない人がほとんど。市民に知ってもらうのが大事だ」という参加者の指摘を胸に置いて、今後とも、労働遺産認定事業に取り組むとの決意を固めたパネル討論会だった。
なお、この討論会の模様は、以下をクリックすれば、動画を視聴できます。