2025/01/06
労働ペンクラブ幹事(国際交流担当)
福島 康志
労働ペンクラブでは、国際交流事業として外国に訪問団を派遣している。2024年度は10月14日(月)から10月19日(土)の6日間、西澤昇治郎団長の下、団員15名が韓国を訪問した。
2024年2月に労働ペンクラブの会員を対象に韓国、フィリピン、マレーシアを訪問対象国として国際交流に対するアンケートを実施したところ、いずれの国についても「参加したい」に「参加を検討したい」を加えても10名程度であり、労働ペンクラブ単独で実施することは困難であることが予想された。
そのような時、日本ILO協議会から国際交流事業を共同で実施しないかとの提案があり、労働ペンクラブ幹事会で検討し、日本ILO協議会と協議することになった。労働ペンクラブの国際交流担当幹事3名と日本ILO協議会代表3名で話し合った結果、2024年度についてはトライアルとして共同で実施してみようということになった。訪問先については労働ペンクラブで実施したアンケート対象国の1つである韓国とし、韓国における外国人労働者受け入れの現状と課題をテーマに関係先からヒアリングを行うこととした。訪問時期については韓国が寒くなる前の10月に実施しようということになった。また、韓国の外国人労働者受け入れ対策に詳しい(独)労働政策研究・研修機構の呉研究員に通訳とコーディネートを依頼することした。
具体的な訪問先については呉研究員に相談し、韓国の政府及び関連機関、経営者団体、労働組合、研究者からヒアリングを行うこととした。これら訪問先アポイントの取り付けについて韓国労働研究院は呉研究員に、労働組合は連合に、その他については在韓国日本大使館に厚生労働省を通じて依頼することにした。
この後順調にアポイントの取り付けが行われていると思っていたが、在韓国日本大使館より訪問団の訪問期間が韓国の国会議員による各行政機関に対する監査の日程に重なっているため韓国雇用労働部及び雇用センターが、日本の訪問団の受け入れが無理であるいと言っているとの連絡があった。我々としては何とか行政機関も訪問したいと考え、呉研究員に大変お骨折りいただき、何とか行政機関も訪問できることとなった。
このような事前準備の結果、韓国における外国人労働者の現状と課題については以下のようなことが分かった。韓国における外国人受け入れ政策の特徴は、非熟練外国人受け入れの目的が中小企業の人手不足対策であることを明確にしている点である。非熟練外国人労働者を雇用できるのは製造業では日本と違い300人未満の企業で、一定期間、韓国人を募集しても応募がない場合に限られている。また、外国人労働者の受け入れ全ての過程が公的機関に担われている点も日本との大きな違いである。韓国の政府や関連機関は透明性の高い制度であることを強調していた。ただ読売新聞の特派員によると不法滞在者は40万人と日本の8万人と比較すると非常に大きな数となっており、この点は問題と思われると指摘していた。
韓国訪問団日程表
日 付 | 時 間 | 視察内容 |
---|---|---|
10月14日 | 午後 | ✈韓国金浦空港へ |
10月15日 | 午前① | 在韓国日本大使館 |
午前② | JETROソウル事務所 | |
午後① | 韓国経営者総協会 | |
午後② | 韓国労使発展財団 | |
10月16日 | 午前 | 韓国雇用労働部 |
午後① | 韓国雇用労働部大田雇用センター | |
午後② | 中小企業中央会 | |
10月17日 | 午前 | 産業人力公団 |
午後① | 民主労総 | |
午後② | 韓国労総 | |
午後③ | 在韓読売新聞特派員によるレクチャー | |
10月18日 | 午前 | 韓国労働研究院 |
午後 | 自由行動 | |
10月19日 | 午後 | ✈大韓航空にて帰国 |