会員セミナー

「老々介護の日々」

2019/10/07

 
会員・中川隆生さん(元事務局長)

青天の霹靂の発症。

北欧旅行を終えた直後の仲良し夫婦が、突然、病魔に襲われたのは、2015年8月下旬のことだった。夫69歳、妻67歳だった。その夜、妻が「くも膜下出血」を発症。重症で2週間意識不明、手術後、徐々に回復、要介護3から、要支援2まで回復したが、この間、寝たきりを脱出するため、リハビリ、自主トレーニングの日々が続いた。最近では、車いすからの卒業、自分でトイレへ、日常会話が可能まで回復してきているという。公園での歩行練習、階段の昇降、本人も、意欲を持って取り組んでいる。

介護は一挙に夫の肩に。

家事はすべて、夫の担当に。掃除、炊事、洗濯、すべて夫が担当する。料理教室に通って、味の工夫をする。自宅に手すり設置、補助がある。  
幸いに、リハビリ、努力の結果、妻も話せるようになり、テレビ鑑賞や、昔飼っていた猫3匹の話もできるようになった。しかし、ディケアの短時間しか、夫の自由時間はない。これまでには、忍耐と、長い努力の時間が必要であった。

介護保険は、助かるが。

だが、よくなると等級が下がり、家族の介護、見守りが中心になり、負担が増えるといった、矛盾もある。重度では、月36万円、軽度になると月10万円以下の補助に減る(自己負担は1割)。今は週2回のディケアしか使えない。あとは自費となるので厳しい。幸いに、妻は、裁判所の司法委員であったので、73歳までは、(名前だけでも)役職は全うすることが出来そうである。

介護する私のストレス。

今、夫74歳、妻72歳になった。2人家族なので、介護だけでは、夫は気が詰まってしまう。病状が改善する期待と、週2回のディケアの時間が唯一の自由な時間である。  
散歩、たまの映画、年に2回の仲間との山歩き、お酒、テレビが息抜きである。2人の目標は、公園での自力散歩、デパートの買い物、一緒に旅に出かけることーである。今後のことはわからないので、二人が入れる施設の検討、遺言等、出来る範囲で勉強している。介護は、誰にもおこる可能性がある。

*9月26日午前11時半から、事務所で行った「アフター5」は、 上記のような講師のご都合による もの。「介護」というテーマが、女性の関心を呼び、参加者22人の うち女性が5人も出席した。約5年に亘る介護経験を淡々と語る中川さんの「戦い」を、会員は頭が下 がる思いで聞いていた。質疑では、 親、配偶者、子供、認知症の苦労話 が披露され、偶然に受けた脳ドッ グで妻が破裂するおそれのある大動脈瘤4個もあると分かり、緊急手術を受けたという生々しい体験 談も話された。会員の関心は高いものであるが、中川氏のように実 行出来るものであろうか?と、考えながら帰途に就いた。

(森下一乗)

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