会員セミナー

「雇用類似の働き方の保護」

2019/12/23

 
会員 岡山 茂

約1900万人いると想定されるフリーな労働者の保護はどうすればよいかというテーマで、新しい提案が11月28日の会員セミナーでなされた。フリーランサー、クラウドワーカー、個人事業主等が該当し「発注者から仕事の委託を受け、個人で役務を提供し報酬をうける」人の労働者性、保護はどうあるべきかという視点からである。

岡山講師は、これらのフリーワーカー、クラウドワーカーの労働者性に着目して、その保護をどのようにして行うか、法的な整備を行うという提案をした。形式的に自営業者であるが、発注者との関係において、経済的な従属性が強いため、雇用労働者と同様に保護が必要であるという。その第1案として労働基準法の定義を拡大する案、第2案として別に、保護立法するという案である。岡山氏は法適用の予見可能性が必要との立場から、労働基準法で保護される労働者を雇用類似の働き手を含めて保護する法案を私案として提案した。労働者に準労働者という項目を設けて適用範囲を広げて保護するという。

コメンテーターとして、この問題に積極的に発言してきた小林良暢さんからは保護の実効性を上げるために、労働組合の関与が必要であると指摘し、労働協約の活用が提案された。さらに各会員から活発な議論が行われて、今後の課題が浮き彫りになった。

厚生労働省では、10月30日「雇用類似の働き方関する検討会」が発足している。現在進行している社会問題とあって、会員の参加は29人に達し、狭い事務所はムンムン。しかも、わずか1時間半の時間では岡山講師も参加者も言い足らず、労ペンとしてもさらに深彫りすることが必要と感じた。社会的な課題への、労ペン会員の積極的な問題提起は他にも数多くあるはずで、今後の会員セミナーが楽しみになった。

(森下一乗)

20191213_01.png雇用類似の働き方で、私法案を説明する岡山茂会員

20191213_02.png雇用類似セミナーの会場で説明に耳を傾ける参加者

  
 

過去記事一覧

PAGE
TOP