見学会

航空機ジェットエンジンのIHI「空の未来館」「瑞穂工場」を見学

2019/10/15

 

恒例の秋の見学会は、9月30日、東京都昭島市にある(株)IHIの「空の未来館」と「瑞穂工場」を会員24名で訪ねた。

IHIの歴史は古く、嘉永6年ペリーが浦賀に来たときに江戸幕府が水戸藩に命じて造船所を創ったことに始まり、百六十六年に渡っている。現在、造船は分離し別会社になっているが、連結決算では約1兆5000億円の売上である。その3分の1を航空宇宙防衛関連が占め、その大部分はジェットエンジンである。

航空機市場は拡大を続けており同社は、航空機ジェットエンジンの日本におけるトップメーカーである。

「空の未来館」には、日本初のターボジェットエンジン「ネ20(1945年橘花に搭載)」から今日まで同社が開発・製造したジェットエンジン類の実物や尺模型(3分の1~4分の1)が展示されていて、その大きさ、複雑さ、精巧さに圧倒される。  
「瑞穂工場」は、ジェットエンジンの組立、運転、修理、整備を担っている。

ジェットエンジンは非常に高価で、部品の一部である大型ターボファンのブレード(羽根)1枚がプリウス1台分に当たるという。部品点数は4万~5万点ある。ちなみに自動車のエンジンは1万5000点前後ということなので、その複雑さがよく分かる。  
ジェットエンジンの収益構造は、部品の単価が高い分だけメンテナンスに比重が高いという。同工場ではメンテナンスのマイスターが活躍していて、一台一台、分解、点検、修理し、再び組み立てるという工程を担当している。

このところ、自動化やIT化が話題になることが多いが、この工場を見ていると熟練のマイスターの経験値や、熟練工の技術力が生命線になっていることがよく分かる。こうした熟練技術者の姿に、何かホッとする感覚を覚えたのは私だけではなかったように思う。

今後、AIによる診断や3Dプリンターによる自動化がいつ、どこまで進むかは分からないが、それでも人の知識、経験、勘、コツが最終的な頼りになる部分は残り続けるものと考えられる。

改めて、わが国の現場力のレベルの高さを実感させられた見学会だった。

(中村 章)

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