2025/03/03
(会報222号=24年12月10日号から転載)
2024年11月13~14日、「2024労ペン一泊交流見学会」を実施した。参加者は西澤、君嶋両代表代理をはじめ、関西支部の二人を加え総勢10名。近鉄津駅に集合し、13日にはジャパンマリンユナイテッド株式会社(略称JMU)津事業所を訪問し、翌日は徳川美術館で様々な収蔵品を見た後、熱田神宮に参拝した。ここでは、JMUの見学について紹介する。
JMUは、日立造船、日本鋼管の造船部門、IHIの造船部門、住友重機の船舶部門などが経営統合して2013年に発足している。津事業所は、1969年、VLCC(超大型原油タンカー)の建造を目的に、日本鋼管によって設立されている。現在、鉄鋼原料を輸送するケープサイズ型(スエズ運河を通行できないような大型の船)では世界の新造船マーケットで常に業界をリードしている。また、LNG船やLPG船、コンテナ船なども手がけている。同事業所の建造する船は燃費効率が業界で最も高いという。
同事業所の特徴的な建造方式は、「キャナロック型(両開き式)」建造ドックと呼ばれ、常時1.5隻建造や、修理ドックを活用した 「ファイナルドック」(試運転&引渡し前に行う外板塗装などの最終仕上げ工程)を実施することで、大型船を年間8~10隻建造している。この建造実績は、JMU各事業所の中でも随一だという。
私は、30年くらい前、何度も造船所の見学をしているが、当時の印象は足場だらけで、真夏の炎天下、溶接の火花が飛び散るというまさの高熱重筋労働を絵に描いたような現場だった。今回見た工場は、足場などはどこにもなく、巨大な建屋の中で、超大型クレーンと超大型マグネット、超大型搬送台車、自動溶接機が活躍し、巨大なブロックとして85%くらいのパーツが作成され、これらがドックで船として組み立てられるという、まさに異次元の現場風景だった。
こうした作業環境の変化を背景に、この間、同事業所でも女性活用を検討してきた。今年、現場に女性社員1人の採用が内定したことを受け、目下、トイレ、更衣室など女性向けの環境を整備しつつある。従業員は、社員約1,000人、協力会社700人。外国人の技能実習生はベトナムから200人が来ている。彼らのために通訳が日本人2人、ベトナム人が2人いる。協力会社にはフィリピン人もいる。技能実習生については、かっては経験者が多く即戦力だったが、近年は未経験者がほとんどでその分苦労も多くなっているという。
(中村 章)