2024/12/09
(会報221号=24年10月5日号から転載)
労ペン恒例の2024年夏の見学会は、7月10日に東京ガス横浜テクノステーションを訪問しました。参加した会員は20名で、脱炭素に向けた取り組みの最前線を知る素晴らしい機会となりました。
東京ガスは、地球温暖化問題以降注目を集めているカーボンニュートラルへの要請にこたえる技術の1つであるメタネーションに力を入れています。
メタネーションは水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を原料として、都市ガスの主成分であるメタン(CH4)を合成し、このメタンを利用します。メタンの利用(燃焼)によって排出されたCO2と、メタネーションで回収するCO2が相殺され、大気中のCO2は増加しないという考え方です。しかも、現在活用されている都市ガスをこのメタンに置き換えすることで、既存のインフラ設備をそのまま活用することができます。
施設見学を経た現時点では、夢の技術が社会実装に向けて一歩踏み出した段階、という印象を持ちました。2030年に現在の都市ガスの1%をこのメタンに置き換え、2050年には二酸化炭素ネット・ゼロにするという野心的な目標を実現するには、多くの課題を乗り越えることが必要そうです。
原料の水素は水の電気分解で生み出すため、再生可能エネルギーを活用するとはいえ余計なエネルギーが必要なのではないか。海外で生産したメタンを輸入するのであれば、結局輸送エネルギーがかかってしまうのではないか。多くの疑問は湧きますが、経済合理性の枠の中で地球環境問題を捉えれば、新技術導入に伴う労働問題を考えれば、メタネーションは1つの現実的な解だと思いました。
施設見学全体を通じて、日頃は目にしない皆さんの努力のおかげで、エネルギーコストの低さを生かした便利な日常を享受していることを再認識しました。
終了後には、全国ガス労働組合連合会本部役員の皆さんを囲んだ懇談会も開催されました。長谷川書記長をはじめとする全国ガス本部の皆さんにお骨折りいただき、有意義な半日を過ごすことができました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
(小山昌泰)