私の主張

<3>2040年問題と労働組合(公社)京都勤労者学園顧問 三村 義夫

2021/11/01

 

2040年問題とは、この年、日本の人口は約1億1,000万人。85才以上の高齢者は1,000万人を突破。現役世代の急減で「1人の高齢者を1.5人の現役世代で支える」事態となる。このため、①一つには人口構造の激変に伴う年金を含む社会保障の対処。②二つには医師・介護士の不足による医療・介護の危機に対する対処。③三つには、それでなくても財政疲弊する自治体が、それぞれのインフラ(道路・橋・上下水道など)の老朽化の維持・補修にどう対処するか。2040年には大きくこの三つの課題が押し寄せるわけである。


また、2040年の人口動態の特徴として、2025年に75才を迎えた団塊世代。その子供である団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)が2040年には70才を越える年となる。
労働組合運動との関連で注目したいのが、この、団塊ジュニア世代の動向だと思うのである。

団塊ジュニア世代は大学卒業時期に就職氷河期に遭遇している。これはバブル崩壊後の景気後退を乗り切る策として、企業が軒並み新卒者採用を抑制したことによる。
新卒者の正規社員への採用が難しいため、正社員になれず、不本意な非正規社員として就職した人々が多く存在したのである。
そして他のフリーターや派遣労働者と同様に、労働条件の悪さや社会保険が整っていない状態となった。長年、正規雇用されずに、生活不安を抱えたまま過ごした労働者も多くいる。経済的な事情から結婚できなかった男女の単身家族など、様々な姿が映る。


最近の厚生労働省の調べでは、2020年6月30日現在、単一労働組合数は2万3,761組合、労働組合員数は1,011万5,000人で、全体の雇用者数5,929万人に対する推定組織率は17.1%となっている。
日本の労働組合は企業別組合であり、正規労働者で組織され、非正規労働者は除外されているのが一般的である。 近年、ユニオン型の組合が増えつつあるが、連合や全労連などに加盟する上位単産が主導して、これまで以上に大胆な発想で、多くの非正規労働者の組織化を成功させ、労働組合運動の隊列に組み込む新しい組合像を追及することが、運動の活性化と推定組織率の引き上げに繋がると思う。
そして、同一労働同一賃金の理念のもと、全雇用労働者が安心して働ける職場の実現が、労ペン入会30年を経た、満93才老人の願望である。
(※文中の数値・表記は、寄稿文のまま掲載させて頂きました。)

「2部あったから・・・」とお寄せ頂いた労ペン関西支部の「支部通信」・懐かしの創刊号(発行日:2013年1月10日)。三村さんの個展の紹介や現関西支部代表・森田さんの寄稿も。


■みむら・よしお

会員番号181・労ペン歴三十ウン年93才・京都市在住。京都勤労者学園(愛称:ラポール学園)
<WEB担当より>2021年の関西支部総会はzoomで参加されたのだとか。ここで会ったが百年目とばかりに、お名前 五十音の順番を越えての飛び入り参加をお願いしました。即座に、「ハイ、2040年問題についてちょっと言いたい・・・」と応じてくださるあたり、まさに・・・老ペンなんて言わせない、労ペン、そして朗ペン ジェントルマンでいらっしゃいます。いつまでもお元気でいらしてください!

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