私の主張

連合、苦闘の30年

2019/11/25

 
鹿田勝一会員

「新ビジョン」で行動力強化へ

「平和 幸せ 道ひらく」を掲げて連合は89年11月21日に結成された。しかし30年間の道は苦闘の歴史であり、「雇用労働者にとって幸せな時代でなく、組合は本来の役割を果たしていたか」と連合総研雑誌(19年2月)で法政大学の稲村博之教授は厳しく指摘している。

春闘も「過少ベア」の結果、30年間で物価分以下の実質賃金マイナスが17回もある。長期で深刻な賃金デフレに陥り、労使の分配のゆがみも拡大し続けている。

雇用構造も大きく変化し、パートなど非正規労働者は30年間で、19%から38%へと増大。労働法制も98年の裁量労働制の創設や04年の製造業務への派遣解禁と08年の「年越し派遣村」は社会に衝撃を与えた。18年には反対運動もなく、労働時間規制の岩盤破壊となる残業代ゼロ制度も強行導入された。

闘い方も74年は春闘高揚で9581件だったストが、18年は8件と激減し、国際的にも異例とされている。政党との関係も野党再編の起爆剤として関わりながら、現在は政党分裂で支援政党を明示し得えてない。組織勢力も結成時の800万人から650万人に減少し、現在は700万人である。

一方、連合は運動再構築へ95年に春闘のパターンセッター見直しを論議し、04年から中小など4種類の共闘組織を結成した。政策でも97年の均等法、07年に労働契約法などを制定させたが課題も多い。

30周年の10月大会ではAI化と集団的労使関係の拡大などの「連合ビジョン」を採択。8代目の会長に再任された神津会長は、「労働三権の実施」などを強調した。

連合に対しては、03年に連合評価委員会が「社会との連帯」などを提言した。この2年間の47産別、47地方連合との「総対話活動」では「困難でも、もっと大衆行動の拡大を」などの要望が出されている。社会的な影響力の拡大へ連合の行動力が問われている。

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