私の主張

労ペン会員の高木雄郷さんが「日本型共同決定制の構想」を出版されました。

2022/01/31

 

労ペン会員の高木雄郷さん(経営民主ネットワーク事務局長)が今月「日本型共同決定制の構想」(明石書店、定価2,970円)を出版されましたのでお知らせいたします。

「日本型共同決定制の構想」の狙い

労ペン会員・高木雄郷

日本でも、企業の不正や不祥事、格差、各種のハラスメントなど労働社会問題が相次ぐ中、こうした事態を払拭するための企業統治(コーポレートガバナンス)の改革論議が大きなうねりをみせている。とりわけ、市場万能の新自由主義の往来とともに、"格差社会を超える"議論が活発だ。

フランスの経済学者、トマ・ピケティによれば、その打開策として国家が介入し、累進的な所得税、相続税に加え、世界共通の資本課税を強化し徴収することが効果的だと主張する。また、所得格差の是正のため、企業トップ(CEO)の報酬を最低賃金の百倍以内に抑えるべきだと指摘する。それを具現化するために、ピケティはドイツの労使共同決定制度(モンタン共同決定法)をヨーロッパだけでなく、日本を含む世界各国に導入しようと提唱している。

換言すれば、企業の社会的責任(ISO26000)の確立、職場のディーセントワーク(安心・働きがいのある人間らしい労働)を実現させる意味でも、労働者経営参画のコーポレートガバナンスの法制度が必要不可欠な時代に入っているのだ。つまり、市場万能主義、反福祉国家、労働規制緩和の流れは、低経済成長の中でワーキング・プアや生活困窮者、大量の非正規労働者(全雇用労働者の約4割)を生み出し、巨大なる「テクノクラート(特権)格差社会」を形成した。

しかし、これに抗して<福祉社会>を堅持、充実してきた国もある。北欧・スウェーデン、フィンランド、そしてドイツ、オーストリアなどの経営・産業民主主義=労働者参加(共同決定制)のコーポレートガバナンスを法制化している国だ。

これらの国は、グローバル・カジノ(金融)資本主義に反対するキャンペーン、労働社会運動を強力に展開している。要するに、「経済民主主義」の出番が再び、やってきたということだ。日本も学ぼう。「日本再生」のために、労働者参加の企業統治改革をはじめ、新たな「経済民主主義」による福祉社会実現のためにというのが、本書執筆のねらいである。

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