私の主張

熊谷謙一会員が新著「SDGs実現へ、新しいステップ ~労使の役割と現代CSRの活用」を出版しました!

2022/12/26

 

SDGsの後半戦を迎え、労使による貢献への指針として

本書は、わが国の労使の関係者を対象に、SDGsの実現が「後半戦」を迎えるなかで、今日的な実践のための知識と手法を分かりやすく示したものである。2015年にスタートしたSDGsは、2030年のゴールに向け、今年秋の国連総会で実現への後半期に入る。

SDGsはわが国の社会での広がりをみせている。国連で採択された目標がこのように受け入れられていることは画期的といえる。しかし、その現状はといえば、達成度の世界ランキングでは、わが国は少しずつ後退している。企業や労使など社会を支える組織が、まだ、「本気」を出していないことが大きいといわれる。

わが国の企業では、SDGsへの貢献を掲げるところが増えた。人権侵害などの問題で企業に厳しい目が向けられていることが背景にある。しかし、SDGsは、そのような受け身の意識を超えるものを求めている。世界の持続可能性が損なわれるならば、企業は存立の基盤を崩されるからである。幹部が取り敢えずSDGsバッジを付ける、あるいは「サステナビリティ・レポート」で事業との関係を一通り紹介するような活動は切り替える必要がある。

本書は、そのような視点から、SDGsのなかでも、人権と労働の分野を重視している。労使に求められるものは、もちろん地球環境への取組みも含まれるが、まずは、足元のこと、とりわけ、サプライチェーンへの目配りなどが求められる。同時に、労使協議会やCSRなど、労使による積み重ねを活かした取組みを呼びかけている。この本では、そのようなCSRを「現代CSR」と呼んでいる。

さらに、「国連・ビジネスと人権」と「ESG投資」とのかかわりに触れている。SDGsが、「企業は、まず、『ビジネスと人権』の実践を」と求めていることは余り知られていない。ESG投資への理解と協力も企業による貢献での大きな力となる。

いま、私たちはコロナ禍とロシアのウクライナ侵略という重大な危機のなかにある。しかし、世界はこれまでにも幾度かの耐えがたい苦難を乗り越えてきた。今日の社会がSDGsという共通の目標を持つことが、それらの危機の克服にも力となることを信じたい。本書が労使によるSDGsへの貢献に向けて、少しでもお役に立てるならば幸いである。(日本生産性本部刊 2,200円=税込み)


SDGs実現へ、新しいステップ【PDF】

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