2025/10/06
全国社会福祉協議会会長(元厚労省事務次官)村木厚子氏
(会報225号=25年9月25日号より転載)
7月16日、全国社会福祉協議会会長で元厚生労働省事務次官の村木厚子氏によるヒアリングが開催された。テーマは「あらためて女性活躍を考える」。長年、厚労省において男女雇用機会均等法の改正をはじめ女性活躍推進に携わってきた村木氏が、過去の歩みを振り返りつつ、今日の現状と課題について語った(28人が参加)。
これまで女性の活躍に取り組んできたが、日本は「ジェンダーギャップ指数2024」で146カ国中118位と低迷している。順位が上がらないことについて「他の国はもっと速いスピードで改善している」との指摘を受けたことを披露し、より一層の努力が必要と述べた。なぜ女性の活躍が必要かについて、2002年の女性活躍推進協議会の「ポジティブ・アクションのための提言」を引用。①性にとらわれず公正な評価を行うことで労働意欲や生産性向上につながり、②多様な人材、多様な価値が混在することで新しい価値や新たな発想が生まれ、③そういう会社が選ばれ、多様な人材が集まり、④その結果、世間の評価も高くなり、企業イメージの向上につながる――効果があると述べた。
ただしそこまで理解している企業は多くなく「腹落ちしていない」ことに懸念を示した。一方、出生率の低下と人口減少による人口構造の急速な変化を前に政府は社会保障・税の一体改革等によって女性の働き手を増やす方向に舵を切る。そのために女性の子育てや働きやすさを支援することも大事だが、共働き世帯が増加する中で、最大の課題は、配偶者である男性の労働時間が長いなど男性の働き方を変えることにあると指摘した。
その上で働き方改革については、残業規制たけに目を奪われるのではなく、次の3つの柱が重要だと述べた。1つは、長時間労働を廃止することで健康を維持し、家族を大切にでき、学び続けることができるようにすること、2つ目が場所と時間の柔軟化。育児・介護など仕事を中断せざるを得ない場面が発生しても、仕事と生活の質を上げる多様で柔軟な働き方ができること。3つ目は、さまざまな働き方をする人を公平に評価し、公平扱うこと。この3つの実現が今後の課題だと指摘した。
さらに成功している企業の特徴を3つ挙げた。1つは、経営トップの意識が明確であり、繰り返し行動していること。2つ目が「働きやすさ」と「働きがい」の2つの座標軸がしっかりしていることであり、育児・介護で休業しても職場に復帰したら楽しく、おもしろい仕事が待っている状態をつくり出している。3つ目は、最初につくった育児や女性のための制度が徐々に普遍化し、誰もが使える制度に移行し、「お互いさま」になっていくことであると語った。最後に、異なる人を受け入れ、活力とする「風土は『風』の人と「土」の人がつくる」という鹿児島県の言葉を紹介し、結んだ。(溝上憲文)
女性活躍の課題を講演する村木元厚労事務次官
参加者からの質問をメモする村木講師(右端)

