ヒヤリング

最近の外国人労働者対策について

2020/03/02

 
厚生労働省外国人雇用対策課長 石津克己

今や150万人弱に達した外国人労働者やその雇用対策の現状、焦点となっている「特定技能制度」の動向などについて、1月21日に厚生労働省外国人雇用対策課の石津克己課長を招きヒアリングを行い、会員29人が出席した。

外国人雇用対策の新しい動きとして、雇用状況の届出事項に在留カード番号の記載をこの3月から義務付けることが紹介された。これによって、法務省中心で行ってきた在留管理の体制が厚生労働省との情報共有によって強化されたことになる。

特定技能制度については、当初目標とした「初年度4万人以上」を大幅に下回る1019人(2019年12月末)にとどまった。その理由としては、技能実習制度修了後に移行させることが可能なこと、試験制度など実施体制の整備の遅れがあること、前段の手続きとしてMOC(二国間取り決め)が必要となることなどがあげられた。特に後者によってブローカー対策を強化することが重要であり、相手国政府の姿勢も自国民保護の観点から慎重になっているとのことであった。

会員からは、特定技能制度を中心に多彩な質問や意見が出された。受け入れる外国人労働者の職業訓練や研修は誰が行うのか、送り出し国における人づくりの対策はどうか。もし雇用情勢が悪化し労働力不足の状況が変化した場合でもこの受け入れ目標は変えないのか等々。一方、雇用調整で外国人がバッファーにならないようにすべきだという意見もあった。

これらに対して、特に、我が国の雇用に影響を与えないということが大原則であり、その方向で対処する一方、特定技能の外国人労働者に対する雇用安定の努力が強調された。このほか、外国人を受け入れるのではなく、テレワークによって母国において活用する方途も考えるべきだという新たな角度の意見もあり、活発な議論となった。

(北浦正行)

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