ヒヤリング

賃上げこそ、日本の再生を導く!

2020/04/13

 
日本総合研究所 副理事長山田久

先進国の中で、今や日本だけが唯一の「賃金下落国」

先進国クラブと言われるOECD35カ国の中で、2000年と比較した2017年の「平均年間賃金」は、今や日本だけが7.3%も下落していることが明らかになった。

賃金や生産性低迷の背景

日本の現状について、山田さんは、「労働サイドのバーゲニング・パワーが低下して賃上げ圧力を弱め、それが結果として生産性の低迷も招いている」と指摘する。 そこで山田さんは、「持続的賃上げで、それを生産性向上や経済成長にも繋げている」北欧のスウェーデンの事例に、私達も学ぶべきだと強調する。

「賃上げを基軸」にしたー"スウェーデンモデル"とは?

スウェーデンは、人口1,000万人の「小国」。しかし「実質経済成長率」は、2018年までの5年間で2.9%、「実質労働生産性」も5年間で1.0%。更に1990~2017年の「実質賃金伸び率」も、日本の0.9%に対して倍の1.8%。 スウェーデンが経済活力を維持している背景には、「雇用よりも賃金を選ぶ労使関係」の影響が大きい。つまり、労使間で"賃上げ"が企業成長や国家運営のベースとの共通認識があるからだ。 そのスウェーデンが「賃金決定の目指すべきゴール」は、①実質賃金と②高雇用のバランスを重点に、物価と生産性、および欧州との整合性も考慮して賃金を決定することだと言う。 更に賃金決定にあたっては、労使のナショナルセンターが賃金上昇率の合意を得てから、その他のセクターの賃上げ率も決めていく。またその過程では、労働省傘下の政府機関「中央調停局」(エコノミストや労働問題に精通した10人程度で構成)が各労使を支援する。このように、スウェーデンは、労働経済政策でも世界の最先端を走っているのである。

生涯賃金「3割増プラン」

山田さんは、賃上げをベースとした「生涯賃金『3割増プラン』」の実施を提言する。

  1. 政府による賃上げ誘導も、評価すべき点もあったが徐々に限界。
  2. これを打破するには、スウェーデンを参考に有識者からなる「第三者機関」による賃上げの目安の提示を創設すべき。
  3. ①賃上げドライブを創出し、②労働移動・人材教育の一体政策、③賃金増を消費に繋げる社会保障改革等で、生涯賃金「3割増プラン」を実施すべき。

(川口政彦)

※注・山田久講師によるヒアリングは、2月6日午後5時15分から1時間30分にわたって、千代田プラットホームスクェアで開催されました。会員30人が参加しました

20200413b.png日本再生に向けて賃上げをーと説く山田久さん

20200413a.png賃上げで再生を語る山田久さんのヒアリング

  
 

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