ヒヤリング

最近のロシアのアジア政策

2018/07/13

 
法政大学教授 下斗米 伸夫氏

日本労働ペンクラブでは、8月下旬に行われる極東ロシア訪問団の事前勉強会として、7月13日午後、ロシア政治の第一人者である法政大学法学部教授の下斗米伸夫氏による「最近のロシアのアジア政策」と題する講演会を開催した。以下、その概要を紹介する。

プーチン大統領は、2018年5月に通算4期目の大統領に就任し、今後さらに、2024年まで大統領職に就くことになった。18年5月には2024年を目標に、生活の質を高め、経済社会構造の改革を進めるための重点政策として、健康寿命の伸長(2030年には80歳に)、住宅環境の改善、生産性の高い輸出指向産業の創出、デジタル経済の普及を政策課題に掲げた。しかし、年金の支給開始年齢の引上げ問題や付加価値税の18% から20%への引上げなど、人気下落の要因も抱えている。

プーチン政権は、2004年の中国との国境画定ののち、極東ロシアの開発を本格化した。極東ロシアは日本の17倍と広大だが、人口は620万人程度。ウラジオストクでは、2012年9月のAPEC首脳会議の開催に向けて2兆円規模の開発計画が実施されて見違えるような都市になり、今では北極海開発の拠点になっている。

また、2016年5月の日ロ首脳会談で日本側から8項目の「協力プラン」を提示し、18年5月の日ロ首脳会談では、北方4島における共同経済活動として5項目が合意された。ロシア側の期待はインフラ整備への日本企業の協力、エネルギー開発の大型案件などであり、今後の動向が注目される。

(奥田久美)

  • 記事画像1
  
 

過去記事一覧

PAGE
TOP