労働遺産

2023年度第3回労働遺産認定証を交付 ―静岡缶詰協会など2件を決定

2024/04/15

 
労働遺産認定事務局・浅井茂利

日本労働ペンクラブは、2024年1月11日に開催した2024年度総会において、

  • 法定最低賃金全国第一号の記録(静岡市、一般財団法人清水港湾博物館および一般社団法人静岡缶詰協会所蔵)
  • 珪肺治療発祥の地の珪肺法成立記念碑(栃木県日光市、獨協医科大学所蔵)

の2件について、労働遺産に認定することを満場一致で決定した。

既報のとおり「法定最低賃金全国第一号の記録・・・最低賃金全国第一号記念碑ならびにそれを裏付ける文書資料」は、静岡缶詰協会が1956年に締結した初任給協定が、法定最低賃金制度導入をめぐる長きにわたる混迷に終止符をうち、今日の法定最賃の礎となったことを記念して1960年に建立された「最低賃金全国第一号記念碑」、およびこれに先立って、同年に授与されていた「静岡缶詰協会に対する感謝状(労働大臣石田博英)」の2点からなっている。

また「珪肺治療発祥の地の珪肺法成立記念碑」は、結晶シリカ粉塵を吸入することで生じる職業性肺疾患である珪肺症について、患者に対する政府による一定の補償を定めた珪肺特別保護法の成立を記念して、患者自ら費用や作業を負担し、病院関係者、労働省関係者なども協力して、1955年に建立されたものである。なお、「珪肺法成立記念碑」については、現在、将来的な所有・管理体制の調整が行われており、保全体制が明確になるまで、認定証の交付は保留される。

正式決定のあと行われた認定証交付式には、一般社団法人静岡缶詰協会より岡村剛専務理事が出席した。植木代表から認定証および「盾」が手渡され、「競うべきは競い、協調すべきは協調して業界を盛り上げ、全国一の缶詰産地を築いた先人たちに頭の下がる思い」との挨拶を行った。一般財団法人清水港湾博物館については、日程の関係で欠席となったが、岡村専務があわせて認定証を受領した。

なお、11月30日の幹事会における内定を受けて、12月18日、西澤代表代理らが静岡県庁に赴き、岡村専務および阿部齊・元清水食品株式会社社長なども参加の下、事前の記者レクチュアを行った。このため、労働遺産認定については地元紙および全国紙の静岡版で大きく報道されるとともに、総会にも、県内民放各社が揃って取材に訪れた。

なお総会後の懇親会では、宮﨑厚生労働副大臣の挨拶でも、本件に言及されており、厚労省賃金課からは、全国の労働局に情報提供されているとのことである。労働遺産事業の社会的な浸透に向け、さらに前進を果たすことができた。

2024年度の労働遺産認定(2025年度総会認定)は、2月末より事前申請、5月から本申請の日程となっており、会員各位による積極的な労働遺産の発掘と申請をお願いしたい。また9月5には、労働遺産認定事業の一層の発展に向け、パネル討論会を開催することにしている。

  
 

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