会員セミナー

働きがいの人材マネジメント--専門・プロ人材の視点から―

2021/03/08

 
現代人材マネジメント研究所代表 谷田部 光一

12月10日、会員セミナーが開催された(参加17名)。講師の谷田部会員は、専門誌の編集記者、コンサルタント、大学教員とさまざまな立場で日本企業の現場の動きを長く研究され、今回のテーマに関する書籍も数冊出されている。
これからの人材マネジメントの役割は、自律した職業人をベースに、働きがいを与え、自己実現を図る場を提供することである。そのために企業は、複線型人事管理システムの導入など多様な選択肢を設定することが課題である。
「働きがい」とは、仕事や所属組織(企業)に満足している主観的状態である。「働きやすさ」の諸施策を前提として、動機付け(モチベーション)や組織コミットメント、さらに適切な人材マネジメントシステムにより、働きがいの状態が作り出せる。
「専門・プロ人材」とは、高度専門職業人とプロフェッショナル人材を合わせたもので、いわゆる「専門職」を拡大した概念である。

働きがいにつながる「専門・プロ人材」の動機付け施策としては、①組織上の地位、ステイタス(専門・プロ人材制度の構築)、②賃金・報酬、③その他の労働条件(柔軟な働き方や進路選択制度など)、④評価制度、能力開発制度などのほか、⑤仕事そのものによる動機付け(大幅な権限を付与し、裁量幅を拡大する、など)も重要である。
また「専門・プロ人材」を活かす組織としては、①階層構造が単純なフラットな組織、反応の早い機動性に富んだ動態的組織、②分権化された自律集団による組織、があげられる。
広範にわたった講師の説明を受けて、時間一杯参加者からの質問が続いた。高度プロフェッショナル制度、テレワーク、日本企業の生産性、これからの日本の人材マネジメントなど重要な論点が取り上げられた。
筆者は「ディーセント・ワーク」の概念は外国では「働きやすさ」に重点が置かれるが、日本では「働きがい」が強調されるな、などと考えながら、中身の濃い講演を興味深く聞いていた。

(長谷川真一)

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