会員セミナー

「私の労働運動論」

2022/04/18

 
講師・逢見直人氏(前連合代表代行)

(2021年)12月23日。労ペンセミナーにて逢見直人・前連合会長代行のご講演「私の労働運動論」を拝聴し、労働運動家としてのキャリアや運動に対する考え方、政策立案・実行にあたっての姿勢・戦略など極めて幅広いテーマのお話をお聞きする機会を得た。その感想を二、三ご紹介したい。

実は、私はここ数年、民間企業経営者としては珍しく、逢見さんとは親しく接する機会を何度も持たせて頂いている。私は、元々は三井化学と言う企業に在籍し、人事部長、担当役員として長年企業側から人事問題・労働問題に携わってきたが、2015―2019年は経団連国際労働部会長と言う役職にもあり、経営者側を代表し、毎年ILO総会の場で政労使の関係者が一堂に会する中、連合の皆さんと、ほぼ一週間、国連欧州本部会議場で席が隣同志になると言う経験をして来た。私が参加した5回のILO総会のうち、2015年の組合側代表は当時の古賀連合会長であったが、2016―19年の4回は逢見さんが連合スタッフを引き連れて参加されていた。このILO総会は毎年6月上旬に開催されることが多いが、期間中は杓子定規な会議だけでなく、現地日本大使主催の会食や、関連各機関主催のパーティーなど、様々な形で意見交換や交流する機会が多い。

この種の場を通じて、逢見さんとはそのざっくばらんなお人柄にも接し、連合と言う中での人望、リーダーシップにも触れさせて頂くこととなり、国内に戻って種々の会議等でお会いする時も、色々忌憚ないご意見をお聞きできる事となった訳である。しかし逆に言うと、ILO総会という極めて特殊な環境下を中心とする交流であったので、逢見さんの素晴らしい足跡については、存じ上げないままで、お話しさせて頂いてきたとも言える。今回の労ペンのご講演でそのご経歴の全貌を知りえて、改めてその活動の幅広さ、見識の深さに感銘した。

その多岐にわたるご講演内容は、全てについて素晴らしいものであったが、私にとって最も共感できたのは、以下の内容の「相互信頼的労使関係モデル」の部分であった。

  • 従業員は経営資源の一つ
  • 組合は従業員意思を代表し、発言する
  • 組合役員と経営者は相互に信頼し、情報を共有する
  • 要求や交渉も経営の事を考えながら進める

私自身、45年以上にわたる会社人生の大半を、まさにこの実現に向けて努力して来たつもりであったので、わが意を得たりの感がし、連合の幹部の方の考え方が同じであったことを知り、会社と個人の関係の基本はwin-winであることを確信する私には嬉しい限りであった。経済・社会環境が激変・不透明な現在であればこそ、逢見さんには、これからも是非、あらゆる労働問題について積極的なリーダーシップを発揮して頂きたいと思った次第である。

(得丸 洋)

逢見直人会員逢見直人会員

  
 

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