会員セミナー

中国における情報統制と労働NGO弾圧

2018/07/20

 
石井 知章氏

7月20日、会員の石井知章さんにより「最近の中国事情」について、実体験も踏まえた貴重な話を聞くことができた。石井さんは、中国政治を専門分野とする明治大学教授で、1年間の研究休暇を得て、コロンビア大学の客員研究員として籍を置き、研究され最近帰国された。印象に残った話は、次のとおりである。

①中国研究者と情報のやり取りをしているが、最近は、情報が届かないし、ウイルスメールにも悩まされていて、研究が困難になっている。

②労働NGOの研究を5年間やっているが、最近は、NGOが弾圧され、逮捕されたりして消えつつある。NGOは、農民工の組織化を支援しており、影響は大きい。しかし、農民工自身が立ち上がっているところもある。

③中国の非正規労働者といえば、自分は農民工の問題と捉えているが、中国ではデジタル経済化の中で急拡大してきたプラットフォーム経済の中でのいわゆる白タクドライバーの労働者性などを論じて、むしろ自分たちはこの分野で先端をいっていると自負したりしている。

④しかし、米中貿易衝突の影響で、権力構造に異変が起きているという報道がある。サンケイニュースは、8月上旬にも始まる中国共産党の重要会議「北戴河会議」で習指導部への批判が集中する可能性に言及している。また、香港英字紙は、「米中貿易摩擦で効果的な手を打てない習氏は、体制発足後最大の試練を迎えた」とみている。

⑤自分としては、中国の社会主義体制がなくなるとは考えないが、修正を求められていくのではないかと思う。

(藤井紀代子)

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