会員セミナー

民間の人材紹介と職安法改正

2018/06/22

 
岸 健二氏

6月22日、会員である岸健二さん(日本人材紹介事業協会相談室長)から話を聞いた。岸さんは百貨店で法務、総務、人事畑を歩んだ後、人材紹介業界に入り、自らも事業経験があるが、長く業界団体の中で現場のさまざまな問題に取り組み、この分野の実態をよく知る専門家である。労ペンの会員にとってなじみの薄いテーマについて、大部の資料に基づき、わかりやすく解説していただいた。

職業紹介事業の歴史や戦後の法制度の変遷から話は始まったが、話の中心は昨年の職業安定法の改正であった。労働基準法などと違い、職業安定法は世の中の関心がやや薄かったが、昨年の法改正は大きなものであった。ブラック企業に若者などが入らないように、職業紹介事業者は、一定の労働基準関係法令違反の求人者による求人を受理しないことができることになった。求職者や求人者が適切な業者を選択できるように、職業紹介事業者に紹介実績などに関する情報提供を義務づけるなどの改正も行われた。また、規制の対象が求人者や求人情報誌などに拡大されたことも大きい。

民間職業紹介事業は拡大しつつある。労働者のニーズや働き方、雇用形態が多様化し、転職や兼業が増えていくことが背景にあるだろう。今後も、国外にわたる職業紹介やウーバーや在宅ワークなど雇用類似の仕事の紹介などの新しい分野も出てきており、民間職業紹介事業の重要性がますます高まることを感じた。

(長谷川真一)

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