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低賃金、人権侵害の技能実習生問題に取り組む

2018/05/21

 
小山 正樹氏

5月21日、JAM参与の小山正樹さんから「外国人技能実習制度と日本の移民政策」と題する話を聞いた。小山さんは2002年に「在日ビルマ市民労働組合(FWUBC)を結成、参与になった今もミャンマーの技能実習生からの労働相談を受け、全国を飛び回っている。労働相談の大半が解雇、未払い賃金、残業代未払いで会社相手と交渉し、解決に結びつけている。外国人技能実習制度は昨年11月に実習生保護策を強めた外国人技能実習法が施行されたが、小山さんの報告からは相も変わらぬ違法行為や人権侵害が続いている実態が浮き彫りになった。

小山さんはこの間取り組んだ事例を4つ取り上げた。いずれも縫製業の零細企業。未払い賃金交渉では、支払い能力のない破綻企業となり、解決金に結びつけるだけでも大変なケースが少なくないという。賃金は最低賃金ギリギリ、銀行振り込みにせず現金払いにして賃金明細は出さないなど証拠を残さない手口が徹底している。また、高額な家賃等を賃金から天引きしていることも多いという。不満を口にすると強制帰国をちらつかせ、休日でも自由な外出をさせないといった人権侵害も少なくない。また、多額の借金をして、送り出し機関に手数料を払って入国していることも事態を悪くさせていると指摘した。

最後に、政府内で進んでいる外国人労働者受け入れ論議について、惣菜部門で実習生が弁当を作り、コンビニのレジは留学生というように、外国人労働者が日本の産業を支えている。「外国人労働者の受け入れは、低賃金労働の中小企業で成り立つサプライチェーンの実態を変えることができるかがポイント」と指摘した。

(蜂谷 隆)

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