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外国人労働者受け入れの課題と展望を熱く語る

2019/07/01

 
熊谷 謙一会員

2月28日のアフター5は、4月からの改正法施行直前のタイムリーな企画とあって、25人が参加。狭い事務所が、人いきれでムンムンしたほどだった。講演は、現状を象徴する5枚の写真から始まった。ハイテク現場で働く者がいる。SOSするデモ隊。「奴隷労働断罪」の垂れ幕を掲げた中国人の裁判集会。カメラが切り取るシーンによるが、おおむね、日本の外国人労働者は「虐げられている」といえるだろう。

熊谷さんは、80年代からこの問題に取り組んでいる専門家。国際派で世界の移民状況にも通じているとあって、わずか60分の持ち時間の中で、国際動向→日本の現況→経緯→裁判所の判例→今後の人手不足の予想という大項目を整理した上で、「課題と展望」として、「何らかの雇用許可制度にすべきではないか」「その職種に本当に人が足りないかどうか市場テストする制度も同時に入れる」として、日本型の受け入れ制度の在り方を提案した。 新聞では悪の温床のように取り上げられている「技能実習制度」については、トッパンなどの大企業で行われている企業単独型は制度の趣旨通り円滑に運営されている一方で、商工会や農漁連などの団体管理型が人手不足対策として、劣悪な労働条件で安易に利用されている側面もあるとした。

「沖縄県民に寄り添う」と言って、辺野古の海を埋め立てる政権は、「移民政策はとらない」と言って、実質的に外国人労働者の受け入れに道を開き続けている。この矛盾がある限り、熊谷さんが「これからの主な課題」としてあげる「国の基本政策として受け入れる」「人権確保と共生の推進」「外国人材から選ばれる社会」などの課題の解決は、望みが薄い。だが、このまま、単なる人手不足対策とするならば、近い将来、日本を揺るがす大問題になる。課題が解決できないならば、外国人労働者受け入れは止めるべきだーと改めて感じた。

(植木 隆司)

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