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突撃取材で現場感あふれるドイツ報告

2019/07/01

 
高木雄郷会員

3月28日、昨年の6月に約2週間にわたり、ヨーロッパを訪問した高木雄郷氏から、最新のドイツの労働事情を聴いた。高木氏は、労働者参加問題に焦点をあてて情熱を込めて研究を行ってきた専門家であるが、今回の報告は、ドイツのDGB本部、さらに、鉄鋼、自動車部品、造船、エレベーター等を事業内容とするティッセングルップ社を訪問したものである。

高木氏は、まず、ドイツの労働組合状況について、労働協約の拘束率が、低下してきており、2015年にはついに6割を旧西ドイツ地域で、割り込み、2017年には、労働組合加入率も18.7%と減少している。また、ドイツにおけるAi革命について、DGBは、「労働4.0」の基盤の上に、労働者教育、人員削減等の雇用問題が発生する場合は、事前の情報提供、交渉を義務付けることを求め、さらに、企業投資計画及びAi ・Iot の導入に伴う雇用計画は、共同決定権事項とするよう要求。共同決定法の運用に関しては、中小等において必要な監査役会等の未設置の場合もまだ多く見られるが、DGBとしては、引き続き、その設置を辛抱強く求めていくとのレイナルド共同決定政策部長の会見内容が紹介された。

ティッセングルップ社の共同決定法に基づく具体的成果としては、スペインの工場閉鎖で300人ほどの人員が解雇の危険に晒されたが、モンタン法により、ドイツの本社工場で働き、景気回復でまたスペインの工場再開で、スペインに再び戻ったケースがあるとのこと。

今回の高木氏の話は、一般的な海外調査団報告が、ややもすれば、訪問先の一方的な話だけの調査に終わる場合が多いが、今回は、事前に、質問事項を先方に送って、一定の回答を得たうえで、さらに、突撃取材を敢行する調査方法で、非常に、現場感あふれる報告で、質疑も大いに盛り上がった。

(前田充康)

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