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AI原則導入に向けて労組は行動をー

2019/07/22

 

「AI革命と労働組合」というテーマで、小林良暢会員のアフター5が、6月27日、千代田フラットで行われ、20人が参加した。私は現在AIと金融消費者保護を研究テーマにしているが、労働分野に関しては新しい機会で、大きな期待をもって伺った。講師は論文を印刷して配布するという準備を行って講義に臨んだ。

過去の提案、海外の動き、取り組むべき課題等が熱く語られ、会場との議論が白熱した。中でも、特に次の4点が深く心に残った。第1は、AIの導入が労使協調の下で、効果的、成功裏に行われているドイツでは、労働組合が盤石であること、第2は、日本ではいまだAIの導入が現場の参加なく、例えば、RPAの導入なども、経営、財務、営業ベースで、一方的に進められていること、第3は、事実上の労使協議を立法事実に積み上げて法制化することが最適ではないかという提案、第4に、AI原則の策定が緊急に必要であるということである。特に、AI原則に関しては、小林氏が「AI五原則」を策定され、従来の「UAゼンセンAI三原則」との違いは、教育を各事業者主導ではなく、国主導で行うべきという点にあると強調された。ちなみに、5月22日に採択された、OECDのAIに関する新原則にも、この考え方が盛り込まれている。

今回の講演が、AI原則の策定を労働組合に強く促してゆく契機になればと期待する。その際、併せて、EUの「信頼できるAI━倫理ガイドライン」(2019.4)を取り込むことを提言してはどうか。当ガイドラインは4つの原則、7つのファクター、実現させるための手法、そして評価リストからなる。「AI五原則」の理念と枠組みの強力な支柱になるであろう。情報格差を無視・放置して、このままAIが既成事実として現場に浸透していけば、取り返しのつかない事態になるとの危機感を抱いたことであった。AIの動きは止まらない。今後半分の仕事はAIに替わられるという予測があるが、どう対処するか。

まず、労働組合が行動を起こすべきだという主張に、参加者の共感が盛り上がった。

(楠本くに代)

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