2024/06/17
講師 (株)ワーク&ケアバランス代表取締役 和氣美枝 氏
介護に伴って仕事を辞める離職問題への情報提供、相談などを続けている(株)ワーク&ケアバランス代表取締役の和氣美枝さんが4月25日、ちよだプラットホームで「介護離職ゼロへの道」をテーマにセミナーを行った。
和氣さんは20年前から80歳代の母の介護を続けながら、介護離職を減らす仕事を会社組織で行っている。介護に携わるケアラーに対する支援活動のほとんどがNPOなどが無償で行っている中で、会社組織は「全国でもうちぐらいでしょう」という。
「先輩たちはカネがなく発信力が弱い」。今年2月、支援が続けられないと自死に追い込まれたケースもあった。持続可能な手段の一つが「会社組織」だ。いわば支援のプロとして活動してきた観点から介護離職の現状、課題、これからの方向性を語ってもらった。
介護離職とは介護を理由に仕事を辞めてしまうこと。2014年に離職者が10万人を超えたことがきっかけとなり、政府は国策として離職対策に本腰を入れるようになった。その効果もあって離職者は大幅に減ったが、21年に再び10万人の大台に乗った。
一方では、介護と仕事を両立させている労働者は360万人いる。「これだけの人が労働義務を担いながら介護を続けている」。少子高齢化に伴う労働力の減少と介護需要の増加の中で、ケアラーの支援は「労働問題」として焦眉の課題となっている。
だが、労働者側の事情は①介護にかかわりたくない②介護に関わらざるを得ない③介護が生活の中心④介護を隠したい労働者、と一様ではない。そもそも介護離職を「介護施設の職員の離職と誤解している人が多い」という世間の認識もある。こうした実態を踏まえてケアラーのキャリア支援をどう示していくか。
令和7年4月に育児・介護休業法改正が施行される。その中で、企業には、①両立支援制度の周知②労働者が40歳になったタイミング制度を周知する③雇用環境の整備、三点が企業に義務付けられる。こうした動きや現在の支援制度の周知の徹底が重要と強調する。
同研究所はノーモア介護離職を掲げて、介護相談、情報提供、実態調査、研究企画、講師派遣などを行っている。ネットも積極的に活用し、「知識(法律)と知恵(工夫)」の周知を図っている。
講演後、会員から父親の介護で地域包括支援センターなどを利用した体験から支援制度は十分機能しているのではないかという指摘があった。果たして実態はどうなのかー。和氣さんは「とにかく支援センターの利用が当たり前、一般常識化したい」と締めくくった。
セミナーの参加者は12人。筆者も和氣さんと同様、家族を介護保険のショートステイ施設に預けて出席した。(中川隆生)
会員セミナーで解説する和氣講師
会員セミナーで質問に答える和氣講師(左)
