ヒヤリング

連合総研との意見交換会を開催

2020年4月27日

 

連合総合生活開発研究所(連合総研、古賀伸明理事長)との恒例の意見交換会が2月6日に連合本部会議室で開かれた。

冒頭のあいさつで連合総研の藤本一郎所長は労働運動を担うことが期待される中堅人材と分野を超えた若手研究者との議論を通じた人的ネットワークの形成、「発信力」の向上を目的に、「日本未来塾」を設立したことを紹介。これを受けてあいさつした山田代表は日本の政治が混迷する中、「これからのベクトルを示すような調査研究をお願いしたい」と要望した。

これに続き連合総研から今年度の調査・研究活動の概要について報告があり、その後、最近の具体的な調査・研究の成果として、「個々のキャリア形成と職場組織の関与のあり方(麻生裕子主任研究員)、「公共交通再生への方策―地方での円滑な経済・社会活動を支えるために(松井良和研究員)の2本が報告された。

麻生主任研究員は調査結果に基づき、労働組合は賃金・労働時間などの基本的労働条件の整備に比べて関与が乏しい個人のキャリア形成に関する協議・話し合いの充実が重要になると指摘。松井研究員は地方における交通弱者が増加する中、公共交通の存続に向け、行政の縦系列だけでなく、労組関係者などを交えた話し合いの場が必要不可欠であると強調した。

意見交換委では会員から、継続中の調査研究である「生産性運動三原則」の今日的意義についての期待などが述べられた。また2本の研究報告については、キャリア形成に関して、労働者自身が自分に合った教育訓練を判断できないことが課題ではないか、また、公共交通再生については、テーマとして取り上げた背景や運転手不足への対応策についてなど多くの質問や意見・要望が出された。

なお、意見交換会には会員31人が参加し、その後、会場を移して懇親会が開かれた(なお、古賀理事長は体調不良により欠席、メッセージが代読された)。

20200427b.jpg連合総研との意見交換会で挨拶する藤本所長

20200427a.jpg連合総研との意見交換会

  

賃上げこそ、日本の再生を導く!

2020年4月13日

 
日本総合研究所 副理事長山田久

先進国の中で、今や日本だけが唯一の「賃金下落国」

先進国クラブと言われるOECD35カ国の中で、2000年と比較した2017年の「平均年間賃金」は、今や日本だけが7.3%も下落していることが明らかになった。

賃金や生産性低迷の背景

日本の現状について、山田さんは、「労働サイドのバーゲニング・パワーが低下して賃上げ圧力を弱め、それが結果として生産性の低迷も招いている」と指摘する。 そこで山田さんは、「持続的賃上げで、それを生産性向上や経済成長にも繋げている」北欧のスウェーデンの事例に、私達も学ぶべきだと強調する。

「賃上げを基軸」にしたー"スウェーデンモデル"とは?

スウェーデンは、人口1,000万人の「小国」。しかし「実質経済成長率」は、2018年までの5年間で2.9%、「実質労働生産性」も5年間で1.0%。更に1990~2017年の「実質賃金伸び率」も、日本の0.9%に対して倍の1.8%。 スウェーデンが経済活力を維持している背景には、「雇用よりも賃金を選ぶ労使関係」の影響が大きい。つまり、労使間で"賃上げ"が企業成長や国家運営のベースとの共通認識があるからだ。 そのスウェーデンが「賃金決定の目指すべきゴール」は、①実質賃金と②高雇用のバランスを重点に、物価と生産性、および欧州との整合性も考慮して賃金を決定することだと言う。 更に賃金決定にあたっては、労使のナショナルセンターが賃金上昇率の合意を得てから、その他のセクターの賃上げ率も決めていく。またその過程では、労働省傘下の政府機関「中央調停局」(エコノミストや労働問題に精通した10人程度で構成)が各労使を支援する。このように、スウェーデンは、労働経済政策でも世界の最先端を走っているのである。

生涯賃金「3割増プラン」

山田さんは、賃上げをベースとした「生涯賃金『3割増プラン』」の実施を提言する。

  1. 政府による賃上げ誘導も、評価すべき点もあったが徐々に限界。
  2. これを打破するには、スウェーデンを参考に有識者からなる「第三者機関」による賃上げの目安の提示を創設すべき。
  3. ①賃上げドライブを創出し、②労働移動・人材教育の一体政策、③賃金増を消費に繋げる社会保障改革等で、生涯賃金「3割増プラン」を実施すべき。

(川口政彦)

※注・山田久講師によるヒアリングは、2月6日午後5時15分から1時間30分にわたって、千代田プラットホームスクェアで開催されました。会員30人が参加しました

20200413b.png日本再生に向けて賃上げをーと説く山田久さん

20200413a.png賃上げで再生を語る山田久さんのヒアリング

  

労働経済白書

2020年3月09日

 

初めて「働きがい」を分析

厚労省・三村国雄労働経済調査官

労働ペンクラブは19年11月18日、厚労省の三村国雄労働経済調査官から2019年(令和元年)版労働経済白書の説明を聞いた。今年のテーマは「人手不足の下での『働き方』をめぐる課題について」。焦点は第Ⅱ部第3章の「『働きがい』をもって働くことのできる環境の実現に向けて」だ。

白書で「働きがい」を取り上げるのは初めてのこと。極めて主観的なテーマを客観的に捉えることが果たしてできるのだろうか。そこで採用されたのがワーク・エンゲイジメント(WE)という手法だ。実際に働いている人から①仕事をしていると活力がみなぎるように感じるか(活力)②自分の仕事に誇りを感じるか(熱意)③仕事をしていると夢中になってしまうか(没頭)の3点を聞いてスコア化し、働き方や待遇の違いで「働きがい」がどう変わるのか分析ししている。

例えば、約1万6000人のサンプル調査で読み取れる正社員の「働きがい」は、▼男性より女性の方が高い、▼若い人より高齢者の方が高い、▼役職が上がるほど高い、▼正社員より限定正社員の方か高い、となる。また、非正規雇用者は、雇用形態に関わらず不本意選択者は低い、▼男性より女性の方が高い、▼55歳以上の高齢者が高い、などが読み取れた。

白書はこんな手法で、「働きがい」と定着率・離職率、労働生産性、自発性・積極性・顧客満足度、ストレス・疲労などの関連を次々と分析。経営者向けの「労働者を気持ちよく働かせる方法」としても読める。

当然のことながら会員から違和感も含め様々な質問が出された。ロールモデルとなる先輩がいた方が、働きがいが高まるとの分析では、「企業では今や先輩の後を辿っても何ら良いことはないと言われている」(小林良暢氏)との疑問が出され、三村調査官も「将来をめぐる労使間のコミュニケーションも大事だと考えた」などと説明に汗だくだった。

日本的終身雇用が経済停滞の主因などと指摘され、今や働き方改革は内閣を挙げての課題といってよい。長期雇用や低迷する賃金水準といった大テーマに一省庁が迂闊に踏み込めないのだろう。そんな苦衷も感じさせる働きがい白書ではあった。

(梶本 章)

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最近の外国人労働者対策について

2020年3月02日

 
厚生労働省外国人雇用対策課長 石津克己

今や150万人弱に達した外国人労働者やその雇用対策の現状、焦点となっている「特定技能制度」の動向などについて、1月21日に厚生労働省外国人雇用対策課の石津克己課長を招きヒアリングを行い、会員29人が出席した。

外国人雇用対策の新しい動きとして、雇用状況の届出事項に在留カード番号の記載をこの3月から義務付けることが紹介された。これによって、法務省中心で行ってきた在留管理の体制が厚生労働省との情報共有によって強化されたことになる。

特定技能制度については、当初目標とした「初年度4万人以上」を大幅に下回る1019人(2019年12月末)にとどまった。その理由としては、技能実習制度修了後に移行させることが可能なこと、試験制度など実施体制の整備の遅れがあること、前段の手続きとしてMOC(二国間取り決め)が必要となることなどがあげられた。特に後者によってブローカー対策を強化することが重要であり、相手国政府の姿勢も自国民保護の観点から慎重になっているとのことであった。

会員からは、特定技能制度を中心に多彩な質問や意見が出された。受け入れる外国人労働者の職業訓練や研修は誰が行うのか、送り出し国における人づくりの対策はどうか。もし雇用情勢が悪化し労働力不足の状況が変化した場合でもこの受け入れ目標は変えないのか等々。一方、雇用調整で外国人がバッファーにならないようにすべきだという意見もあった。

これらに対して、特に、我が国の雇用に影響を与えないということが大原則であり、その方向で対処する一方、特定技能の外国人労働者に対する雇用安定の努力が強調された。このほか、外国人を受け入れるのではなく、テレワークによって母国において活用する方途も考えるべきだという新たな角度の意見もあり、活発な議論となった。

(北浦正行)

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ヒアリング「同一労働同一賃金」に関する改正法のポイント

2019年11月11日

 
厚生労働省古舘哲生課長

10月11日「同一労働同一賃金」 に関する法改正のポイントについて厚生労働省の古舘哲生 雇用環境・ 均等局有期・短時間労働課長から話を聞いた。加藤大吾職業安定局需給調整事業課課長補佐が同席。

非正規雇用労働者(パートタイ ム労働者、有期雇用労働者、派遣 労働者)は緩やかに増加し、平成 30年には2120万人、その割合は 役員を除く雇用者全体の37.9%を 占めた。

非正規雇用労働者は正社員に比べ賃金が低く、教育訓練にも恵ま れていない。雇用形態に関わらない公正な待遇を確保するため、働き方改革の主要なテーマの一つに 取り上げられた。

「同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇格差をなくし、どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けられるようにし、多様で柔軟な働き方を選択できるようにする」という趣旨の下、パート タイム労働法、労働契約法、労働者派遣法が改正された。

改正のポイントは以下の3点

  1. 不合理な待遇差の禁止
     同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることの禁止。ガイドライン(指針)において、どのような待遇差が不合理に当たるかを例示。
  2. 労働者に対する待遇に関する 説明義務の強化
     非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」などについて、事業主に説明を求めることができるようになる。事業主は、 非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければならない。
  3. 裁判外紛争解決手続(行政A DR)の整備
     都道府県労働局において、無料 ・非公開の紛争解決手続きを行う「均衡待遇」や「待遇差の内容・ 理由」に関する説明についても、 行政ADRの対象となる。

施行は2020年4月1日。中小企業はその1年後から。着実に実施され、実りある成果を期待したいものだ。

(佐藤和夫)

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