ヒヤリング

連合総研との意見交換会 新技術が労働をどう変えるかなど発表

2019年1月31日

 

日本労働ペンクラブと連合総研との意見交換会が、1月31日、連合会館で開催された。労ペンからは、山田代表はじめ32人が、連合総研からは昨年10月に就任した藤本所長、古賀理事長ら14名が出席した。冒頭、藤本所長は「人口減少、少子高齢化など、日本経済の現状において、三つの注目点がある。ひとつは就業者数が増加している一方で、物価上昇もあって実質賃金が低下している。二番目に働き方改革に関わって、これがワークライフバランスの改善につながるのか。三番目は高齢者雇用と年金改革がどう進むか。労働生産性を向上させてマクロの潜在成長力の引き上げにつなげる必要がある」と指摘した。

次いで、こんな問題意識に立って、最近公表された二つの研究報告が紹介された。戸塚鐘主任研究員は「IoTやAIの普及と労働のあり方」について、働き方の変化や新技術の進展とその影響などを中心に研究成果を報告。この研究を基礎として、分析を深化させるとの見解を示した。金沢紀和子主任研究員は、常設の調査研究である「勤労者短観」の最新調査について報告。労働時間に関する設問では、人手不足が長時間残業の根因となっていることなどを示した。なお「勤労者短観」は従来の首都圏・関西圏合計2000サンプルの対象範囲を全国化、サンプル数を現行の2倍強とするとの報告もあった。

(早川行雄)

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JILPTとの意見交換会を開催

2018年10月19日

 

日本労働ペンクラブとJILPT(労働政策研究・研修機構)との意見交換会が10月19日に開かれた。労ペンからは稲葉代表ほか31名の会員が、JILPTからは今年4月に就任した樋口美雄理事長、濱口桂一郎研究所長ら9名が出席した。

まず樋口理事長が「ようやくJ ILPTのしごとに馴染んできたところでの意見交換でタイミングが良かった。これまで以上に政策基盤に資するエビデンスベースの研究成果を提供していきたい」と挨拶。そのあと、ごく最近に発表された二つの調査研究成果が紹介された。

堀有喜衣さん(主任研究員)は、「日本的高卒就職システムの現在」と題し、1997年、2007年、2017年の3時点にわたり、7 都県の高校、企業、ハローワークなどに対して実施した定点観測調査の結果について報告。「推薦指定校制」「一人一社制」という高校-企業間の仕組みは概ね維持されながらも、時代の推移に伴い相当程度、調整・変化されつつあるとし、校内選考よりインターネットなどを活用した生従の主体性が高まっていると指摘した。

会員からは、今後は大卒の就業実態についても成果が聞きたいとの声が上がった。

渡邊木綿子さん(副主任調査員)は、短時間労働者への社会保険の適用拡大政策が、事業所や当該労働者にどんな影響を及ぼしたのかについて、厚労省要請の大規模調査(全国の2万事業所と短時間労働者5.6万人を対象に昨夏実施、5523社と6418人が回答)の結果を取りまとめた。適用拡大策のみ実施企業が15.3%。適用回避策のみの企業が21.7%、両方実施企業が47.9%で、人手不足感が高まったタイミングでの施策だったので、適用拡大を前向きに受け止めた事業所も少なくなかったのではないかなどと報告した。

(山田 潤三)

  

「労働経済白書」働き方の多様化と人材育成を分析

2018年10月18日

 
厚生労働省労働経済調査官 三村 国雄氏

2018年(平成30年)版労働経済の分析(労働経済白書)のテーマは「働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について」だった。働き方の多様化に対応した能力開発や雇用管理の在り方について多面的な分析を試みている。10月18日、労ペン会員34人が参加し厚労省労働経済調査官・三村国雄氏から白書の解説を受けた。

雇用情勢、賃金動向をみた上で①労働生産性や人材の多様化、②働き方や企業の人材育成の課題、③「きめ細かな雇用管理」の推進などが分析のポイント。17年の労働力人口は前年から47万人増加し6 711万人。雇用者数(15~54 歳)は、正規の職員・従業員が3 年連続で増加し17年で2841万人。完全失業率は17年度平均で2.7%と24年ぶりの低水準、有効求人倍率は同1.54倍で44年ぶりの高水準だった。一般労働者の名目賃金は13年度以降、パートタイム労働者の時給は11年度以降増加している。

18年3月調査で、雇用人員の人手不足が高まり全産業、製造・非製造のいずれもバブル期に次ぐ「人手不足感」となっている。能力開発費は15年以降増加に転じ、人手不足感が強い企業を中心に「人材育成を強化する動きが生じてくる」とみている。

今回70冊目を数える「白書」。少子高齢化-労働供給制約を抱え人手不足に直面、外国人労働者の受け入れを拡大する。多様な働き方で労働現場はどう変わるのか。新時代の「分析白書」に期待したい。

(麻生英明)

  

最近のロシアのアジア政策

2018年7月13日

 
法政大学教授 下斗米 伸夫氏

日本労働ペンクラブでは、8月下旬に行われる極東ロシア訪問団の事前勉強会として、7月13日午後、ロシア政治の第一人者である法政大学法学部教授の下斗米伸夫氏による「最近のロシアのアジア政策」と題する講演会を開催した。以下、その概要を紹介する。

プーチン大統領は、2018年5月に通算4期目の大統領に就任し、今後さらに、2024年まで大統領職に就くことになった。18年5月には2024年を目標に、生活の質を高め、経済社会構造の改革を進めるための重点政策として、健康寿命の伸長(2030年には80歳に)、住宅環境の改善、生産性の高い輸出指向産業の創出、デジタル経済の普及を政策課題に掲げた。しかし、年金の支給開始年齢の引上げ問題や付加価値税の18% から20%への引上げなど、人気下落の要因も抱えている。

プーチン政権は、2004年の中国との国境画定ののち、極東ロシアの開発を本格化した。極東ロシアは日本の17倍と広大だが、人口は620万人程度。ウラジオストクでは、2012年9月のAPEC首脳会議の開催に向けて2兆円規模の開発計画が実施されて見違えるような都市になり、今では北極海開発の拠点になっている。

また、2016年5月の日ロ首脳会談で日本側から8項目の「協力プラン」を提示し、18年5月の日ロ首脳会談では、北方4島における共同経済活動として5項目が合意された。ロシア側の期待はインフラ整備への日本企業の協力、エネルギー開発の大型案件などであり、今後の動向が注目される。

(奥田久美)

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グッドカンパニーの条件とは

2018年7月12日

 

"本音で話す労使関係"が前提

トッパン・フォームズ社長 坂田 甲一氏

去る7月12日、トッパン・フォームズ(株)社長の坂田甲一氏から「企業発展の条件とは!『労使自治の取組み30余年』」と題した話を聞いた。労ペン会員が現役の経営者からヒアリングするのは極めて珍しいことだ。約30名の会員が参加し、講演後は活発な質疑、意見交換が行われた。

筆者は、およそ10年前の2007年、当時、凸版印刷(株)の人事部長兼人材開発部長だった坂田さんに初めてお会いした。前年発足の「御手洗経団連」の下で労使関係に冷淡な雰囲気が急速に強まった時代だった。そんな中で坂田さんは、「私どもの企業現場は、印刷業という業界特性もあり『安全・安心な仕事環境』と『人づくり』が肝要です。『労使関係の安定』は、そのための前提条件なんです」と明快に語っていたのをよく覚えている。

今回のヒアリングでは、坂田社長に、印刷産業の概況から自社の労使関係の現況、さらには、これからの働き方の方向まで、実に率直に語っていただいた。特に労働組合や労使関係へのスタンスでは次の2点が印象的だった。

①たしかに、今の労働組合に対しては「労働組合なんてもういらない」「労働組合はつらいよ」といった声も聞こえてくる。しかし、企業内組合という限界はあるにしても、会社を本気モードにさせるには、労働組合なりの「捨て身と気迫」が必要である。

②労使関係には「納得性」、「公平性」、「透明性」の3つが大事。当社には3つの労働組合が併存していて、交渉にも時間もかかる。しかし「少数組合だから」といって、おざなりの対応はしてこなかった。これからも"本音で語る"労使関係を大切にしたい。

(川口政彦)

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